short2

□過去拍手
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そんな顔


しないで?








なんで、だっけ。


「…いち、ご…っ…?」


なんで、こうなってるんだっけ?
ああ、そう…だ。あたしにも、分からないんだった。だって気付いたら一護の顔の後ろに天上が見えてたんだもん。


「悪りィ…俺――」

「イヤー!!!何すんの!変態!ドスケベ!ムッツリ苺!!」


ばっちーん!


「てぇっ…!!」

「悪いけど、あたしアンタの性欲処理機になる気無いから」

「なっ…!?そういう意味じゃ――」

「一護だけは、信じてたのに」

「…っ」


男なんて、所詮こんなもんか。自分の性欲満たす事で頭いっぱいなんでしょ?女なんてそのための道具としてしか見てないんでしょ?うまい言葉で惑わせて、用が済んだらポイッ?女舐めんじゃねー!!


「皆、男なんて結局一緒だね。男なんてきらい。一護なんて、きらい」

「あっ…おい!?」


立ち上がり部屋から出て行こうとする彼女の腕を掴もうとして、掴み損ねた。ばたん、と無常にも閉まってしまった戸のせいで、追いかける気力を奪われた。今追い掛けて弁解したところで彼女はきっと信じてはくれないだろう。


「はー…何してんだ、俺」


アイツは俺の幼馴染だ。アイツにとっちゃ俺はただの幼馴染かもしれねえが。俺は違ェ。幼馴染であり、俺が昔からずっと好きな女。…でも、モタモタしてる間にアイツにも彼氏が出来た。けど、その男が最低な奴で。アイツはそれがトラウマんなってて、それ以降俺以外の男を信用出来なくなってた。…そのことに対し、少し、自惚れてたのかもしれねぇ。彼女の過去を知っていたのに。彼女がその男に散々酷い扱いをされてきた事を、知って、いたのに。感情だけが先走り、結果、彼女を傷つけてしまった。


「俺がアイツの傷また増やして、どうすんだよ」


好きな女の傷つく姿なんて、みたくねえのに…なんであんな事しちまったんだ。って、今更後悔しても遅ェよな…。




「一護の、ばか」



俯きながら誰も居ない道を1人歩く。あんな言葉を吐くつもりなんて、無かった。…だって、ずっと、好きだったから。一護はあたしの大切な人だったから。ただ今更あんな事をされて、反射的に酷い言葉だけが口をついて出た。


「まだ、怖いのかな。あたし」


過去の事を、まだあたしはきっと引き摺っている。簡単には消えてくれない傷。未だに震える体が何よりもの証拠だ。あんな男とさえ付き合わなければ、こんな事にはならなかったのかもしれない。だって一護は、他の男とは違う。そんなの、誰よりもあたしがわかっているのに。


「自業自得だ…ごめん、一護」



(あまりに臆病なじぶんが悔しくて気付いたら頬を涙が伝ってた)





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