小説(短)
□夏祭り
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「ユーリ!どこ行くんだっての!」
「坊ちゃんはどこ寄りたい?りんご飴あるぞ〜射的もあるな。
初めてなんだろ。祭り」
「えっああ、まあ…城にいつも居たし、祭りなんて友達と行ったこともないな…」
「じゃあ」
くるっとこっちに向いてユーリが言う
「今日めいっぱい遊べ、やりたいこと言え、俺が付き合ってやるからよ」
「ユー、リ…あ、
ありがとう」
ふわっとルークが笑う。ユーリは反射的に顔を背けてしまった。
可愛い。可愛すぎる。
「ユーリ、ユーリ!あれやりたい!」
ルークは金魚すくいを指さして言った。
「ん?ああ、金魚すくいな。じゃあ行くぞ」
それから2人は射的、くじ引き、りんご飴、たこ焼き、などの屋台を片っ端から行って祭りを精一杯楽しんだ。
「はぁ〜!祭りってこんなに楽しいんだな!!」
「ガルドに制限はあるけどな…」
ユーリは財布の中身を見て泣きそうだ。その反対ルークはすごくスッキリしたような、楽しんだ顔をしていた。
今はすこし休めるような丘の上に来ている。
「もうそろ花火が上がるはずだから、ここで待機してようぜ」
「花火か!すごいなぁ祭りってのは。人々はこういう楽しみを糧に生きてるのかな…」
「それは人それぞれってやつだな。もっと不純な理由で生きてるやつも居るし、祭りだけじゃない、家族と過ごす時間とか、仕事とかを生き様にしてるやつだっている」
「俺は……そんな人達の上に立てるかな…」
「立てるさ。これでまた学んだろ。庶民の心ってやつをさ」
「そう、そうだといいな… あっ!」
ヒュルルルル……バァン…
「わあ…!」「花火、始まったな」
綺麗な火薬の花が空に舞う。目を奪われる。
「ルーク」
不意に呼ばれる。顔を向けるとそこには至近距離にユーリの顔
「ユッ…」
……ヒュルルルル……バァン…
「ふっ…甘いな」
「なっななな…なにして」
「ほら花火見ないと終わっちまうぞ」
「誰のせいだ誰の!!!」
お祭り、楽しんだようです