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管理人達によるリレー小説(なり茶)掲示板です!
CPは色々節操なく

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08/23(Thu) 12:11
朱音

結局男鹿達は古市の家に居候することになり、古市は少しげんなりしていた。

「ヴァンパイアってやっぱ血飲むんだろ?」
「それは偏見だ、ヴァンパイアの世界には人間の世界にいかずに過ごす奴も居る」

「あのクソ王〜」と、拳を握り締める男鹿に自分の血が狙いで近付いて来た訳じゃないと思うと、少しだが好感が持てた。男鹿には男鹿なりの事情があるんだろと思うと少し同情の念が湧いてきた。

「そう言えば人間ってのは“学校”と言うモノにいくんだろ?」
「あ、ああ……まぁ行くけど」
「俺も行く」
「はぁ?」

確かに男鹿の格好は何故か学ランで古市の学校に通うのは申し分無さそうだが。古市にはその理由が解らなかった。

「なんでだ?」
「人間界に来たらいつかヴァンパイアは渇きがくるだろ?」
「いや知らねぇし」
「餌が要るんだよ」
「そうだな、ドブ男にもこの世界の教養を身に付けて貰わないと困る」

うんうん、とヒルダが頷く。ベル坊は……男鹿から離れる気は無いらしい。先程から背中にくっついている。

「ダッ!」
「どうやらベル坊も賛成らしい」

本当に大丈夫なのか古市は不安で仕方なかった。“餌”と言っていた、男鹿は見境無く人間の血を飲むのだろうか?それはどこか寂しいような、でも人間界に来たらヴァンパイアなりの渇きがあるのだろう?
そうなってしまったら自分に出来ることはあるのだろうか?

「兎に角、今は何か飲みたい、古市オメーんちにトマトジュースあるか?」
「あ、昨日貰ったもが冷蔵庫にあったような……」
「それよこせ」
「あ、ぁあ…」

徐にトマトジュースをねだられ、昨日たまたま貰ったのがあり古市はキッチンに行き、トマトジュースの缶を手に取って部屋に戻り男鹿に渡す。

ぷしゅ!!

男鹿が缶の蓋を開けると中から空気が抜け、缶が音をたてる。そのまま男鹿は口をつけてゴクゴクと喉をならし缶に入っていたトマトジュースを飲み干す。

「不味っ!」
「トマトジュースなんてそんなもんだろ」
「ヴァンパイアの世界のトマトジュースの方が断然うめぇ」

眉間に皺を寄せ口の周りを強引に拭う男鹿の口の端から牙が見えた。

(あぁ……マジでヴァンパイアなんだな)

何て思う古市だった。

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08/24(Fri) 15:17
(続
妹八

「…っーかさ、マジで学校まで来んの?」
翌朝、男鹿と連れ立って歩く古市はまだ反対していた。
「大丈夫だ。昨夜の内に少し学校に細工をしておいた、我々はお前のクラスの転校生ということになっておる」
「ゥィー!ダブ!」
答えたのは2人の数歩後ろを付いて歩くヒルダ。
相槌のようにベル坊が声をあげた。
「え?なに?細工って?怖いんだけど!!」
「学校とやらなら確かに餌に出来るほど人間がいるが…貴様忘れた訳ではあるまい?"契約者"を見つけねば帰れぬのだぞ?貴様が帰れねば、坊ちゃまも魔界に帰らぬ。よって1日も早く契約者を見つけることに全力を注げ。良いな?」
叫ぶ古市をよそにヒルダは男鹿に対して強気に言い放つ。
「へーへー」
「ダーダー」
しかし男鹿にはあまり刺さっていない。
「む。なんだその気の無い返事は?!」
「あ!その、気になってたんスけどヴァンパイアと契約って結局なんなんスか?」
古市の質問に男鹿とヒルダの視線が一瞬、古市に向けられた。
知っているのか知らないのか定かではないが男鹿に説明する気は無いようで、その様子を察したヒルダは面倒臭そうに眉根を寄せたあと口を開いた。
「通常ヴァンパイアに血を吸われた人間は長くは生きぬ。悪くてその場で死ぬであろう。しかしそうホイホイ餌を使い捨てるのも苦労だからな。契約して人間を不老不死にしてしまうのだ」
「ふ、不老不死?」
「未来永劫、その人間を食らって生きることが可能になる」
「怖っ!俺の学校の人がそんなことになっちゃう可能性あんの?!俺とんでもない事に加担してる気がする!!!」
ヒルダの言葉にぎゃーぎゃー喚く古市に男鹿が肩をすくめる。
「うっせぇなぁ。別にいらねぇよ契約者とか」
「アー、ダ!」
「馬鹿者、そういう訳にもいくまい」
男鹿は頑として譲らないヒルダを睨め付ける。
「第一、俺は人間の血とか飲まねぇから」
「え?そうなの?」
それには古市が反応した。
しかしヒルダはさらに押してくる。
「人間界で我々が力を振るうには、どうあがいても媒体がいるのだ諦めろ」
「知るかよ」
「ダ!」
男鹿とヒルダ、互いに譲らない問答を聞きながら古市は思う。
(ヴァンパイアのくせに血も飲まないとか、コイツってやっぱ変わり者なのかな?)
そうして三者三様の想いが巡る中、坂の上に聖石矢魔が見えてきた。

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08/27(Mon) 19:13
朱音

「い、一応ここが俺の通ってる学校だ」
「悪くないな」

古市はこの学校の誰かが男鹿と契約して……と、思いながら男鹿に視線を移すと。

「ふぁぁあ〜…」

呑気に欠伸をしていてヴァンパイアって血を飲まないとどうなるんだ?なんて考えていた。

「何だ古市俺の顔に何か付いてるか?」
「!な、何でもねーよ!」
「?」

へらりと微笑しながら訊いてくると口の端から見える牙が妙に色っぽく感じた。古市は慌てて大きな声で否定してしまった。

「(色っぽいな、なんて死んでも言えるか!)」

と思い、1人悶絶していた。

「兎に角ださっさと好きな人間を選べ!ヴァンパイアの渇きは想像を絶すると聞いたことがある」
「ダッ!」

ベル坊が男鹿の肩で心配そうに言う。

「なんだベル坊も心配してくれるのか?」
「ダブッ!」

仕方なく男鹿は「はぁ……」と溜め息をつく古市はヴァンパイアの“渇き”ってなんだ?と思っていた。血が欲しくなることか?なんて“渇き”を知らない為、男鹿も古市も能天気に構えていた。

「だって、どいつもこいつも不味そうな匂いしかしない」
「貴様の意見などどうでもいい!さっさと決めてしまえ」
「まだ渇き来てねーし、大丈夫だろ」

男鹿とヒルダが話をしている。ヒルダは男鹿に渇きが来たときベル坊を守るのは誰がやるのだ!私だって四六時中見ている訳ではないんだぞ!とさっきから喧嘩している。
その言い合いは校舎に入るまで続き。

「男鹿、職員室行かなくて良いのか?」
「職員室?なんだそれ?」
「キモ男、こいつはそんな教養受けていると思うか?」
「キモ男?俺?酷っ!知らねーなら連れてく」

今度は古市が「はぁ…」と溜め息をついた。男鹿は魔界ではヴァンパイアの王の部下に一応当たり前の勉強を受けていたが。
それはヴァンパイアの王の城内と言う限られた環境だった。

「こっちだ」
「ん、」

当然のように男鹿、ヒルダが付いてくる。男鹿の肩には裸の赤ん坊。すれ違う人々はクスクスと笑ったり、ヒソヒソと話をしたり、思わず二度見する者もいた。
確かにこの中から男鹿が美味しくて契約してもいいと思える人間なんか見付かるのか?と思うほどだった。

「失礼します」

古市が男鹿たちを連れて職員室に入っていく

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08/30(Thu) 01:39
(続
妹八

「ああ話は聞いてる。古市、案内してやれ」
職員室に顔を出した3人と赤ん坊を見て、担任教師はそう言った。
古市が適当に返事をして、一同は踵を返す。
「まじですんなり行き過ぎて怖いな…。まあでもヒルダさんみたいな美人とお近づきになれるシチュないからな。ここはラッキーと思って…」
「心の声が丸聞こえだぞ、キモ男」
一山(?)超えて独り言が大きくなった古市を背後から軽蔑の眼差しで見つめるヒルダ。
そうこうしている内に教室へ着き、チャイムが鳴った。
その後遅れてきた担任によるHRを経て、男鹿とヒルダは教室の最後列の席を与えられた。
ついでに言うとそこを与えられたのは、男鹿の目の前が古市の席だったからだ。
「ふむ。このクラスはどうもパッとしないな」
中休みになるとふとヒルダが呟いた。
「そりゃウチのクラスは不良もいねぇし、かと言ってめちゃくちゃ頭良いやつがいる訳でもないしだな…」
する事のなくなった古市も後ろの席に寄りかかりながら答える。
するとまだ辺りを見回していたヒルダが不意に指をさした。
「手近で済ませるなら…あの中央の席にいる女はどうだ?」
「え?」
ヒルダに指された相手を探して古市が視線を巡らせるより先に男鹿の口が開いた。
「却下」
「ダブ」
同じようにベル坊も首を振る。
「ふん。そう言うと思っておった。丁度良い。今は休み時間とやららしいからな、他のクラスも見に行くぞ」
「え?いや、ヒルダさん…」
「ぼやぼやするでない!立て!」
すっかりやる気になったヒルダに男鹿と古市は引きずられるようにして教室を出て行った。
それからのヒルダは
「あの足の遅そうな男は捕まえやすそうだぞ」
「このくらいの小さな女なら捕らえやすい」
「いっそこの学校のボスなら、坊っちゃまとの契約も上手く行きそうじゃないか」
「なかなか奇抜な格好をしておるが此奴は雑魚じゃな」
と、行く先々で生徒たちを批評して行った。
一方の男鹿はというと
「却下」
「却下」
「めんどくせぇ」
「興味ねぇ」
のオンパレードだった。
「坊っちゃまが契約者無しで人間界に留まり続けることになったら貴様のせいだぞ!」
なのでついにはヒルダにキレられた。
「いやお前、俺の契約者探してんじゃねえのかよ!ベル坊の契約者の話になってんじゃねえか!」
しかし男鹿も我慢ならずにキレ返す。
そんな2人に、これは長くなるなと思う古市だった。

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09/05(Wed) 13:38
朱音

結局あーだこーだ喧嘩して中休みは終わってしまい。仕方なく古市達は教室へ戻っていった。男鹿はヒルダに当分は喧嘩をするな!と怒られていた。どうやら体を激しく動かしたり頭を使ったりすると体内の血が少なくなり“渇き”を早めるだけらしい。

「男鹿〜寝るな〜」

教師が黒板に字を書きながら頭を使うなと言われたら寝ているしかない。男鹿は

「んー……」

と返事をしつつ寝ていた。しかし他の生徒を見るとちらほら寝ている生徒がいる、男鹿も起きるはずもなく寝たままだった。

「はぁ……」

ヒルダは人間界の授業が珍しいのか?起きてはいたが今朝購買で買ったノートには何やら見たことのない文字が書かれていた。その様子をただただ見ているだけで古市は思わず溜め息が漏れた。

昼休みになり、古市はダッシュで購買に向かう。

「なんだあいつ?」

その後をのらりくらりと追いかけていく男鹿達。すると古市は購買でパンやら飲み物やらを買っていた。

「男鹿はなに食うか解らなかったけどトマトジュースは飲むだろ?」
「あぁ…まぁ、そうだな」
「ヒルダさんは……」
「私はこの焼きそばパンなるものを食べてみたい」

焼きそばパンは人気No.1の商品だ古市の手の中には1つ収まっていた。

「どうぞヒルダさん」
「礼など言わぬぞ、キモ男」
「ははっ(泣)」

古市は心で泣いた。

結局その後古市達は屋上に行った。ヒルダはここでも男鹿の契約者探しをしていた。

「ドブ男!あの女はどうだ?人間の癖に弁当持参だ」
「却下」
「ダブッ!」

そう言って男鹿がトマトジュースのストローを取って刺し口に刺してぢゅ〜〜…と飲むがやはり口に合わないらしく顔を歪ませる。

「大体、どんな奴の血飲もうが俺の勝手だろ!」

再び喧嘩を始める2人に古市はまた溜め息が漏れた

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