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管理人達によるリレー小説(なり茶)掲示板です!
CPは色々節操なく

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12/03(Sun) 15:22
続)
妹八

「よお!どーだ?調子は?」
「よぉじゃねーよ…」
エースに世話を焼かれてあれよあれよと言う間に、パン屋の制服を着せられてレジ打ちをしているサボ。
エースの方は普段通りの業務の合間にサボの様子を見にきては茶化して持ち場に戻って行くというのを繰り返している。
「エース、お前より飲み込みが早くて助かっとるよい」
エースに答えたのはサボの隣に立つマルコだった。
「おかげで新入りにつきっきりにならなくて済んでるよい」
「マルコ、俺に対する嫌味はいらねーだろ」
サボを間に挟んで2人が喋り始めると来客を告げるベルが鳴った。
「いらっしゃいませー」
反射的にお決まりの挨拶がサボの口から出た。
「….ほらな、すでに慣れてるよい」
「すげぇな、この道何十年に見えるぜ」
「俺としては先輩方が仕事をしてくれると有り難いんですけど」
「行き場がねぇっつーからとりあえずレジ打ちやらしたけど、使えるなぁ…オヤジに口利きしてやろうかよい?」
「え、ほんとですか!はい、ぜひ!」
「よかったな!サボ!」
「(……って、ここでこんな事してていいのか…おれ…)」
横目でチラリとエースを見る。
朗らかに接客する横顔に胸が高鳴る。
「(まぁ…とりあえずエースの側に居られればいっか…)」
そうして来たばかりのサボも店の仲間たちに馴染んでいった。

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12/04(Mon) 04:17
朱音

「エース、焼き上がったパン並べてくるよい」
「はいはい」

エースが焼き上がったバケットを持って厨房から出てくる。

「サーボ!調子はどうだ??」
「あ、あぁ…なんとかな、」

その時若い女の子2人組が入ってくる。

「エースくん!今日も格好いいね〜」
「エースくん、今日こそはケータイの電話番号教えてよね!」

と、パンを並べていたエースに絡んできた。サボはそれを見て心チクリと痛むのを感じていた。

「いや、俺、ほらバイト中だし」

エースもしどろもどろになりながら断っている。

「えーエースくん冷たい!」
「良いじゃない!電話番号くらい」

エースとしては仕事とプライベートは白黒ハッキリしたい。仕事以外で客に会っても、知り合いならともかくこの2人は明らかな他人だ。

「いや、ダメだって……それよりバケット!焼きたてだし買っていきなよ?」
「話逸らさないでよ」

サボは女の子に囲まれているエースになんとなく自分でもよく解らないがイライラする。そして……

「お客様、買って行かれないなら他のお客様の迷惑になりますので、お引き取り下さい」
「なによ!いつものパイナップル……!」
「どうしたの?……!」

すると女の子2人組はサボをみるなりみるみる顔が赤くなって行く……。いつもマルコが止めに入るのだがマルコは生憎新作のパンの構想を考えて厨房で試行錯誤しているようで気付いてはいそうだが手が放せないようだった。

「……///」
「…//じゃこのバケット2本下さい」
「424円になります」
「ま、また来るわ」
「ちゃんとパン買いに来て下さいね」
「…///」

そう言うと女の子2人組は店から出ていった。つい間に入ってしまった。まだバイトに付き合わされて数時間なのに。

「サボ!助かった!いつもあの客も俺に絡んできて、焦っちまって、ホント!サボが居てくれて良かった」

そう言ってエースは涙目になりながら笑っていた。余程毎日のように来られてほとほと困り果てているようだった。




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12/06(Wed) 20:04
続)
妹八

「…いつもあぁなのか…」
ぱたぱたと駆けていく女子2人の背中を一目見てサボはついそう呟いてしまった。
「え?あぁ、まぁな…ほんと!助かったよ!!」
顔の前で両手を合わせてお礼を言ってくるエースに、サボは片手でいいよ、と返した。
「なにしてるんだよい」
「!」
そこへある程度の目処を付けて調理を切り上げてきたマルコが厨房から顔を出してきた。
「お、マルコ!今度のパンは上手くいきそうか?」
途端にけろりとマルコに茶々を入れにいくエース。
サボは2人の他愛ない会話を少し微笑んで聞いている。
するとマルコがはたとサボの方へ向き直って言った。
「そういや、エースはそろそろ上がるんだが、お前はどうする?」
「え、あっ…」
エースの側にいてつい忘れていた。
サボにはまだ人間界での居場所がなかったこと。
「そ、そっか…えーと…」
この場合どうすればよいのかと、横目でエースの顔色伺う。
「ど、どうすればいい…?」

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12/07(Thu) 14:41
朱音

「そんなの、俺のアパートでよかったら泊めてやるよ!」

なんの躊躇いもなく言葉にサボは目を丸くした。

「良いのかよ!俺はエースと今日会ったばっかりだし!…他人だし…ヴァ……だし(やっぱ言っても信じねぇだろうな)」
「ヴァ?」

語尾が躊躇ったせいで上手く伝わらなかった。エースは『?』マークでこちらを見ている。
そんなに見つめないで欲しい。そんな目で見られたらサボの付いている嘘なんか簡単に見透かされそうだ。

「なんでもねぇ!」
「じゃ、決まりな!?」
「……でも」
「なんだ?」

そもそも、人間の血の味は知らないもののやはり腐ってもヴァンパイア…目の前にある美味そうな人間に対して我慢なんて出来るのだろうか?
しかし現実は厳しく…行く宛なんてないし、誰を頼れば良いかも解らない(他の3人はどこへ行ったのか?)、お金だって魔界では苦労しないほど魔札を持ち歩いており今でも辛うじてポケットに入っていた財布には魔札の束。
しかしここは人間界。魔札等通るわけもなくサボは実質上無一文だ。

「気にすんな!ベッドは一個しかないからせめーけど」
「い、一緒に寝ないからな!」
「そうか?」

からかうように笑うエース。可愛い。可愛過ぎる。

「帰りスーパーに寄らなきゃな、ご飯くらいしかねーし」
「……悪いけどトマトジュース買ってくれるか?」
「サボ、ほんとトマトジュース好きな!」
「な゛…!?」

トマトジュース飲んでなきゃエースの首筋に噛み付きそうな自分を必死で抑えているのに

「(人の気も知らないで…)」

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12/07(Thu) 16:43
続)
妹八

「ほい、入れよ」
「お、おじゃましまーす…」
あれからエースに招かれてサボはエースの家に上がり込んでいた。
部屋の中を先に進んでいくエースがぱちりと電気を点けた。
玄関横にはもう台所とお風呂場とトイレがあって、少し進むと居間がある。
向かいの窓の外は紫がかって、風に洗濯物の下着とTシャツがそよいでいるのが見えた。
「よし、晩飯作るか。えーとサボの荷物は…って、荷物らしいもん持ってなかったな!そーいえば」
この部屋は、エースの匂いで溢れてる。
そんな事を思いながら胸の内でため息を吐いたものだから、エースが自分に近づいてきたことに気づかなかった。
「…い、おーい!サボ?」
「え?」
「先にシャワー浴びてきちまえよ。とりあえず今日は、俺のシャツ貸すから」
と、居間の右隣の襖を開けて寝室に入っていった。
「ほらよ」
「あ、ありがと…悪いな」
「いいよいいよ、今更っ」
Tシャツを受け取ってお礼を言うとエースが笑顔で力強く背中をはたいた。
「ちょっ、痛いって」
「早く入ってこいよー」
抗議の声をあげるとエース押され、じゃれ合いながら浴室に滑り込んだ。
ぴしゃりと閉められた扉を見やってから、サボはまたため息を吐いた。
エースの気遣いはありがたい。
ありがたいのだが…今は少しばかり辛い。
さっきは迷ってぼやかしたが、こうなったらいっそバラしてしまうべきか…。
でも…。
それでエースに拒絶されたら……………。

「………」
「どう?美味いだろ?」
「あ、あぁ…美味い…」
迷いに迷ってまだエースの部屋にいるサボ。
しかもしっかり晩御飯をいただいている。
炊いてあった白米と帰りがけに買ってきた惣菜、余り物で作られたであろう炒め物の生活感溢れるメニューだ。
まあヴァンパイアにはこれを晩御飯と呼ぶべきか微妙なところだが。
「なんか曖昧だなー?」
「いやいや!びっくりしただけ!こっちじゃこんなモノ食うんだなって」
「え?こーゆーのサボん家で食わないのかよ?うわーお前実は金持ち?」
「………」
「無言は肯定と受け取るぞ?」
「そんなことないって!普通普通!」
必死感は拭えないが、サボは美味い美味い!と口に運んで見せた。
「まーいっけどな」
「!」
そう言って自己完結して食事に戻ったエースの無防備な首筋が目に入って固まった。
部屋着だと…余計に…クる…。
喉に自分の生唾がゆっくり落ちた。

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