薄桜鬼〜中編&短編〜
□託す 上
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平助君の話によれば、妊娠してる桜ちゃんに負担をかけないように馬車で来ていた途中、山賊に襲われたそうだ。
しかも、その山賊達は平助君と桜ちゃんが元新撰組だって事に気付き、襲ってきたそうだ。
御者が斬られ、馬車が揺れて平助君は桜ちゃんを庇ばった時に斬りつけられたが、すぐに山賊に応戦したらしい。
ザシュッ!
「桜、大丈夫か!?」
「へ…すけ…赤ちゃ…うまれそっ…」
「!? わ、分かった!すぐに千鶴んとこ行くからな!!」
襲われた時の衝撃で桜ちゃんは早産せざるおえない事態になってしまい、お医者様が来てからすぐに産むことになった。
桜ちゃんの体に結構な負担がかかっていたみたいで出産に長い時間がかかった。
「っ、桜…。」
「平助、ちょっとは落ち着け。」
「左之さん!そそそそ、そんなこと言われたってなぁ!落ち着いてられねぇ…」 ガララッ!
私が戸を開けた瞬間に切羽詰まったような顔で平助君が私の肩を掴んだ。
「ち、千鶴!!桜は…!?」
「大丈夫、無事に産まれたよ。早く会いに行ってあげて?」
そう平助君に笑いかけると、そっか、分かった!と言って部屋に入っていった。
「桜!っ……よかった!!」
部屋に入るなり平助君は桜ちゃんを抱きしめた。
「平助…?ほら、見て…可愛いでしょ…」
「そうだ……ふ、2人…?」
平助君が驚きながら、桜ちゃんの方を見て、それを桜ちゃんと私は2人で笑っていた。
「ふふっ、びっくりしちゃった?ほら、お父さん…。抱っこしてみて?」
「お、おう…。ちっせぇ…桜…よく頑張ったな。」
「もう、何泣いてるのよ。平助ったら…」
そう言ってる桜ちゃんも涙を流しながら笑ってて、すごく幸せそうだった。
この時は平助君達に幸せな未来が待っていたように思えた。何十年先の未来が約束されたはずだった。