薄桜鬼〜中編&短編〜
□いつか
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『桜っ!!!』
俺がそう叫んだのと同時に暴走している隊士の剣が桜の腹部を貫いた。
『うぁっ…!…へ、すけっ…。』
桜がこっちに手を伸ばしながら倒れて、桜の周りには血の海が広がった。
『血…血が欲しいぃ…ぐぁっ!』
俺は目が燃えるように赤くなるのを感じながら桜の血を飲もうとした隊士の心臓を一突きした。
『へ…すけ…?』
『待ってろ!今、救護隊を……』
『いい…。』
桜は俺の言葉を弱々しく遮ると血に濡れた自分の手を俺の頬に添えて微笑んだ。
『いいってなんだよ!!俺とずっと一緒にいるんだろ!?』
『自分の体はっ…わたし…が1番わかってる。もう、私の体はむ…』
『そんなことない!!絶対助かる!』
そう言う桜の言葉を今度は俺が遮るように俺の頬に添えてる桜の手を握りながら言った。
『平助、よくき…いて。わた…し、へ…すけに出会えてよかった。』
『な、なんだよ。まるで最期の言葉みたいじゃねぇか。』
俺が泣きながらそう言うと桜は俺の涙を拭いながら微笑んだ。
『平助…ご…めん…。愛し…て……る。』
『お、れも愛してる!!だから!!』
俺がそう言うと桜は微笑んで、そのまま静かに息を引き取った。
『桜…?嘘だろ…?桜……!!』
静かに微笑みながら息を引き取った桜を大泣きしながら俺は強く抱きしめた。
あの時、俺がもっと早く駆けつけれたら。あの時、すぐに隊士の異変に気づけれていたら。
あの日からずっと、桜を助けれなかった後悔とあの時の俺に対しての怒りが頭の中をずっとぐるぐると回っている。
桜がいなくなってから、あれだけ、キラキラしていて楽しかった世界は何も感じないただの白黒の世界と変わった。
桜がいなければ、何もかもつまらない。生きていても苦しいだけ。
「こんな世界なら…俺は……」
『ダメだよ!平助っ!』
「え…?」
桜の声が聞こえて、俺が自分の膝に埋めていた顔を上げると…目の前にはあの日、死んだはずの桜が立っていた。
『もう!平助ったら、ずっと呼んでるのに気づかないなんて!』
頬を膨らましながら怒る桜を俺は虚ろだった目を見開いた。
「な、んで…?桜は死んだはずじゃ…。」
『うん、死んだよ。だけど、私はずっと平助のそばにいたよ。』
気づいてもらえなかったけど。と、苦笑しながら言う桜を立ち上がって強く抱きしめた。
「桜…!」
『もう…また泣いてる。泣き虫だな〜平助は。』
そう言って桜は笑いながら、俺の涙をあの日みたいに拭った。
「桜っ、あの時…助けられなくてごめんっ…。」
『平助のせいじゃないよ。あのね、平助。私は、平助に出会えて…生きることができてとっても幸せだった!』
俺はそう笑いながら言う桜をもっと強く抱きしめた。