薄桜鬼〜中編&短編〜
□いつか
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半月前、桜が死んだ。
夜の見廻りを終えた俺はいつもみたいに自室の隅で座り込んで、膝に顔を埋め、目をつむった。
いつもみたいに夜の見廻りをして、自室に帰る。正直、あまり日々の記憶がない。色のない世界がぐるぐると回っているだけ。そして気づいたらいつもうずくまって桜との記憶を思い出す。
ーー平助!しっかりしなよ、私がついてるから!
ーー私は平助について行く。誰になんと言われてもね
ーーいたた…。えへへ、転んじゃった〜
ーー平助、大好き!!
桜は少し天然だけど優しくて皆から人気で、だけど芯のある強さを持っていて綺麗だった。
俺が羅刹となった時なんて、皆の反対を押し切って十一番組組長という立場を捨ててまで俺について来てくれた。
そんな桜と俺は半年前、夜の見廻りに行ったら不逞浪士との乱闘が始まり、俺は羅刹となって先陣を切った。
『はぁ…全然、敵減ってなくない?』
不逞浪士達を斬り捨てながら肩で息をして言う桜。
『怖くなってきたか?』
『全然!むしろ、やる気が出てきた!!』
俺が大丈夫か聞くと桜ニッと笑いながら俺の方を見ると、すぐに剣を構えて迫ってくる浪士を斬った。
その姿を見て俺は安心して少し遠くにいる敵に斬りかかった。
『はぁーやっと終わった。』
そう言いながら桜の方を見るとあっちもちょうど終わったみたいで桜が笑顔でこっちに手を振った。
『平助!!こっちも終わったよ!』
桜がそう言いながら笑顔でこっちに走って来ようとした時、羅刹のままの隊士が桜に斬りかかった。
『血を…血を寄越せぇぇえええ!』
『桜!!危ない!』
俺がそう叫ぶと桜は素早く後ろを向き刀を抜いて応戦した。急いで俺が桜のもとへ駆け出したその時、桜の刀が宙を舞った。