おそ松さん

□松ネタ吐き出し
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※恋人前提の一カラが性行為の相談をする話








 カラ松と二人きりの居間で、一松は猫と戯れていた。

 カラ松は一人でごそごそ何かを漁っている。そして、唐突に「なぁ、一松」と弟へ声を掛けた。



「何?」

「お前、Mなんだろ」

「……は?いきなり何?誰から聞いたの。それ」

「兄貴」



 平日の真っ昼間。家族が過ごす居間で、突然、松野家の次男であり、松野一松の恋人でもあるカラ松が、うっすらと頬染めながら、「その……」と相談を持ち掛けた。



「……いつもお前は俺に合わせて…ノーマルに愛してくれているんだろ?だから、これからは俺もお前をちゃんと気持ちよく愛せるように頑張ろうと思ってるんだ」



 そう言って、いそいそとカラ松が背中に隠していた大袋を持ち出してきて、袋の入り口を開いて中身をドバドバと床に散らばした。

 一松は目を見開いた。

 カラ松は緊張と羞恥に頬を染めながら、「どうだ?」と硬直している恋人へ笑いかける。

 床に広がっているのは様々な大人の玩具……SMグッズだった。

 拘束ロープや蝋燭。手枷に足枷に口枷。拘束ベルト。手錠。首輪。バイブ。ローター。ペニスバンド。ロングチェーン。紐。目隠し。猫耳。猫耳付きマスク。猫の尻尾型アナルプラグ。

 カラ松はこれら全てを一松の為に、わざわざ取り揃えたのだ。自分でも届いた商品を実際に見て少し引いた。でも、可愛い弟兼愛する恋人のためである。SのSはサービスのSなのだ。自分にできない筈がない。自分はSになりきってみせる。カラ松は覚悟を決めたのだ。

 一松は無言だった。

 一つ一つ道具を手にとって品定めするように検分をする。

 やがて、猫の尻尾を手に取るとそれらを裏と表に返してニヤリと笑った。どうやら気に入ってくれたらしく、カラ松はホッと胸を撫で下ろした。



「一松、それ良いだろ?お前に似合うと思って選んだやつなんだ」

「……はぁ?」



 その瞬間、一松の目が鋭利なナイフのように細まった。彼の口元がヒクヒクと痙攣している。二人を取り巻く室内温度が幾つか下がったのを肌に感じた。ついさっきまで楽しそうだったのに、自分の何が恋人の機嫌を損ねさせてしまったのだろうか。訳がわからない。カラ松は泣きたくなった。



「そ、その、これからは……俺もこの手の界隈について色々勉強して頑張るから!最初はこういうのは慣れないかもしれないけど、ちゃんと覚えるからな!」


 恋人兼弟を相手に情けないが、少し涙目になりながら、カラ松は自分の決意を必死に訴えた。



「………へぇ」



 しかし、一松の声は冷えたままだった。



「……もしかして、今月の小遣いをほとんどコレに費やしたの?」

「え、あ……まぁ」

「…………」



 恋人に、小遣いの殆どをエログッズに費やしたことを見抜かれて、あまりの恥ずかさに耐えられなかったカラ松は一松から視線を逸らして俯いた。

 一松はハァ……と呆れたように溜め息をひとつ吐いて、カラ松の体を引き寄せて抱き締める。



「い……いちまつ?」



 突然、強く抱きしめられたカラ松は一松の顔が見えない。行動が読めない弟の突然の抱擁に困惑したつつ、大人しく恋人に身をまかせてしがみつく。



「……アンタ、本当にばか」

「え?」

「……僕を構い倒してくれるだけでいい。鏡ばっか見ずにもっと僕に構って、僕に虐められて、いつも通り馬鹿みたいに僕のことを愛してくれればそれで良い」

「え……」

「だから、こういうのは要らない」

「でも……」

「俺よりもおそ松兄さんの言うことを信用するの?」

「そういう訳じゃない。ただ、俺は…お前を本当に満足させてやりたいだけなんだ」



 そっと一松の体を手で押して身を離して真っ直ぐ弟の顔を見つめる。一松は普段のように何とも感情が読み取りにくい半目で静かにカラ松を見つめ返す。



「別に、アンタが僕に啼かされているだけで興奮するから、こんな玩具は必要ない」

「え」

「だから、これからはこういうのを買うときは一人で決めずに、事前に僕に相談してよ」

「……あぁ、わかった」



 カラ松がコクコクと頷くと、一松は満足そうに目を細めた。



「……あ、でも、これは使いたいかも」



 ひょいと一松は猫耳と尻尾を手に取った。



「せっかく買ったのに使わないと勿体無いよね」



 手に持った猫耳を目の前のカラ松の頭にスルッと装着する。



「え……いや、これは……お前のために」

「よく似合ってるよ。カラ松兄さん」

「う……」



 普段めったにカラ松を褒めたりしない憎まれ口ばかり吐く弟から珍しく褒められて、カラ松は驚きと困惑と照れから何も言えなくなってしまった。



「元々は俺の為に買ってくれたんだよね」

「あ……あぁ」

「じゃあ、今度こっちも使ってみても良いよね。カラ松兄さん」

「も、勿論だ!」



 そして、カラ松兄さん、と呼ばれて条件反射で承諾してしまった。しかし、一松の手の中にあるのは尻尾型アナルプラグ。それが弟の手の中でプラプラと左右に揺らされている。



「ありがとう。カラ松兄さん。弟想いでエロくて淫乱な素敵な恋人を持てて本当に嬉しいよ」



 尻尾型アナルプラグを片手に、ヒヒッと悪どい笑みを浮かべる弟に、カラ松はひきつった笑顔を返した。




兄の献身弟のネコ


 後日、四つん這いになってお尻を高くあげながら黒い猫の尻尾を生やして羞恥に身悶えながら喘ぐカラ松の姿と、満足気に笑う一松の姿がありましたとさ。

End.
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