おそ松さん

□松ネタ吐き出し
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コレの後に旅行先でテロに巻き込まれた。
・イヤミが実は公社の人間だったという設定
・チョロ一トド&イヤミしかいない
・書きたいとこだけ書く精神。なので中途半端。
・思い付きによる勢いだけの文章





目の前には包帯でぐるぐる巻きにされ、生命維持装置で繋がれた三人。

そこにはかつての面影など見る影もない、おそ松、カラ松、十四松がいた。もう二度と目を覚ますこともなく、ただ死を待つだけの肉塊。機械によって生かされているだけの植物人間である。



「兄さん……」



松葉杖を付いたトド松がポツリと呟いた。三人を見下ろす大きな瞳から涙を溢して泣いていた。自分を庇った兄や、痛々しい兄弟の変わり果てた姿に自分を責めていた。



「十四松兄さんは……僕を、僕を庇って……僕のせいで、兄さんは……!」

「トド松。そんなこと……俺達が言ってはいけない。……いけない、んだ……」



自分達、三人は彼らに救われた。旅行先でテロに巻き込まれた時、トド松は隣にいた十四松に庇われた。そして、チョロ松はおそ松に、一松はカラ松に助けられた。その代償が、目の前の三人である。



トド松の隣に立つチョロ松は、三角巾をしていない無事な方の手で拳をギュッと握り締めて歯を食い縛る。己の無力さや不甲斐なさに涙が出そうになった。

頭に包帯を巻いた一松は、静かに機械に繋がれた三人を見つめていた。その瞳は薄暗い闇を秘めていた。一松は不条理なこの世界を呪い、理不尽な運命を呪い、神を呪った。そして、自分達をこのような目に遭わせた見知らぬ敵に復讐を誓う。



「こんにちはザンス。チミら、テロに巻き込まれたみたいでとんだ災難ザンスねぇ」



三人揃って声の方へ振り替えると、病室の入り口に見覚えのある出っ歯の男がいた。



「イヤミ……」

「おそ松達も酷い有り様ザンスね。チミ達コイツらを助けたいザンスか?」

「え……」



何を言っているのだ。この男は。



「兄さん達を……治せるの?」

「治せるかどうかはチミ達次第。チミらがミー達に力を貸してくれるというのならば、そこで寝ている三人を助けることができるザンス」

「本当!?」



すがるようにイヤミを見ていたトド松の顔が驚きに変わり、砂漠でオアシスを見つけた旅人のようにイヤミに駆け寄ろうとする。




「なら、お願い!兄さん達を助けて!」

「いやいやいやいや!ちょっと待て、トド松!とりあえず、イヤミの話を全部聞いてからだ」



ガシッとトド松の肩を掴んで制止する。

こんな上手い話がそうそう有るものか。医者でさえ匙を投げ出してどうにもならない現状なのに、それを救済するように都合良くあのイヤミが…強欲で、六つ子達を嵌めようとしたりするあのイヤミが、自分達に救いの手を差し伸べるなんて…有り得ない。

警戒するチョロ松を、ふふんと面白そうに目を細めて見つめるイヤミ。指を一本立てて、さらに言葉を続ける。



「し・か・も!それだけじゃなく、チミらをこんな目に遭わせた奴等に復讐するチャンスもあるザンス」



その言葉に一松の瞳がスッと細くなる。



「……なにそれ、どういうこと?」

「お前達にはミーの仕事を手伝ってもらうザンス」

「イヤミの、仕事?それと復讐がどう関係あるんだ?」



チョロ松が問いかけると、イヤミはチッチッチッと指を振ってイーッと口を閉じる。



「これ以上は機密事項ザンス。話せまシェ〜ン」




ア〜ハッハッハッと大口を開けて笑い声を上げると、目を細めてジロリと三人を見つめる。



「とりあえず、お前達の選択肢は、六人揃ってミー達に協力し、復讐を果たすか。兄弟を見殺しにして復讐も果たさないまま、三人仲良くただのニートに戻るか。そのどちらかしかないザンス。どっちを選ぶザンスか?」

「…………」



トド松がイヤミの元へ一歩、足を踏み出した。



「医者も兄さん達を見放したけれど、ちゃんと元通りに助かるんだよね?」

「えぇ、勿論ザンス」

「後遺症もなく?」

「一応、怪我は綺麗に治るザンス」



念を押すように聞くと、イヤミがどこか歯切れが悪くなる。



「怪我は治るけれど、兄さん達はその治療でどこか後遺症とか副作用があらわれるってこと?」

「まぁ、当たらずとも遠からずザンス」

「ふーん………わかった。その話、僕は乗った」



くるりとイヤミに背を向けて、チョロ松と一松を振り返る。真っ直ぐな意志を秘めた強い瞳が二人を見る。



「多少、副作用が出ようとも、僕は兄さん達を治したい。また、兄さん達と一緒に過ごせるなら、僕は何でもするよ」




「……俺も乗った」



トド松に続くように一松もイヤミの元へ向かう。

三人の視線がチョロ松へ向かう。



「………」



チョロ松は兄弟の中で比較的慎重な男だった。どうしても、先ほどイヤミの言った『副作用』という頭を過ってしまう。



「治療費は全てこちらが持つザンスよ」



チョロ松の背中を押すように、イヤミが言う。
しかし、こちらにメリットがあればあるほど怖くなった。

『副作用』
『復讐を果たせる』
『イヤミの仕事』

何か、ひどく恐ろしいものが兄弟を待ち受けているような気がして易々と返事ができない。

返事を待つイヤミ達の視線から逃れるようにチラリと後ろを振り返ると、背後のベッドに機械に繋がれたミイラのような兄弟の姿が目に入る。

いつ失われるかもわからないチョロ松の大事な兄弟達。

何を迷っている暇があるんだ。松野チョロ松。

六人の内の誰かを失うことほど、恐ろしいものはないのだ。



「……俺も、その話に乗る」



腹を括ったチョロ松の答えに、イヤミの口角がニヤリと上がった。


チョロ松、一松、トド松の三人はそれぞれイヤミから17枚の書類を渡されてサインをさせられた。

その際に、イヤミは自分が政府の諜報機関に所属していること、そこで国内にいる海外マフィアやテロリスト、スパイ、国家に仇なす反社会的組織などを殲滅するために働いていること。
表向きは、公益法人社会福祉公社となっており、公益法人として福祉事業を行っていること。
自分達もこれからは公社で働くこと。
などなど色々と説明される。



「つまり、チミ達にはこれから国家の狗としてテロリスト共と戦ってもらうザンス。その代わり、あの三人は義体として生まれ変わるザンス」

「……記憶を、なくして?」



トド松が書類から視線を上げてイヤミを見る。



「それがさっきミーが言った副作用ザンス。死にかけた肉体から義体として生まれ変わるザンス。そして、対テロリスト用に強靭な身体能力を手にいれる代わりに、義体化以前の記憶は全て失われるザンス」

「……そんな」

「あのまま死んでしまうより、全然マシザンスよ」

「……」

「さらに、チミ達には義体となった兄弟を管理する担当官となってもらうザンス」




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