おそ松さん
□松ネタ吐き出し
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・書き捨て文
・六つ子が旅行に行くまでの流れ
・おそチョロ「暇だ〜。チョロ松ぅ。旅行行きて〜な〜」
「は?」
寝転がっていたおそ松が、卓袱台で求人雑誌を読んでいるチョロ松の肩を爪足で叩いて訴えかける。
チョロ松が振り返ると、眼前に旅行のパンフレットが差し出された。足で。全く足癖の悪い兄貴である。
「なぁなぁ、旅行行こうぜ旅行!熱海とか良いんじゃね?」
気軽に言ってくれるが、この兄貴、旅行の計画や旅費の管理、宿の予約など面倒事を全てチョロ松に丸投げして押し付けているのだ。
「なぁ〜良いだろ〜?最近、お兄ちゃんちょっと傷心気味でさ〜。気晴らしに皆でパ〜ッとどっか遊びに行きたいのよ」
パンフレットを持った足が頭を下げてお願いするように、爪先をヘコヘコと下げられる。
端から見ていると、足の裏を突き付けてお願いしているようおそ松の姿は、とても物を頼んでいる態度とは思えないだろう。
しかし、チョロ松には通じてしまった。
最近、イヤミとチビ太に騙されてお熱を上げていた六つ子達。
別に、レンタル彼女をしていたチビ美やイヤ代に真剣に恋をしていたわけではないが、若い性欲と童貞故の夢と好奇心に突き動かされて、真面目に社会に出て働き、金をせっせと貢いでしまっていた。
そして、当のチョロ松も自分の大事な臓器を売り払ってまでイヤ代に金を貢いでしまっていたのだ。今となってはとても手痛い記憶である。正直、あの出っ歯のオヤジに夢中になっていたなんて忘れたい思い出である。
なので、皆でパーっと旅行したいというおそ松の提案も何となく理解できる。イヤミとチビ太に貢いだ分の金は何倍にもなって返してもらったし、とりあえず金なら幾らでもあるのだ。
ふぅと溜め息をひとつ吐いて仕方ないなとチョロ松は笑いを溢した。
「わかったよ、おそ松兄さん」
「マジか!?」
そう言うと、ガバリとおそ松が起き上がってチョロ松の肩を掴む。
「マジだ。その代わり、旅費の管理と旅行のプランは俺がやるけど、宿の予約とかはトド松に頼んでくれ」
「了解!」
兄弟の中で皆の金を横領することなく、きちんと一円単位で管理してくれるのは几帳面でしっかり者のチョロ松だった。
なので、皆でまとまって旅行に行くときはいつも旅費の管理や旅先のスケジュールの管理などを任されるのだ。
兄弟の中で旅行のプランを作ったり下準備をするのは、専らチョロ松とトド松の仕事であった。
特に、宿の手配については社交的で情報通なトド松にしか頼めないことである。
面倒事が嫌いなおそ松とカラ松、社会性・社交性が皆無な一松、奔放過ぎて他人と会話が成り立たない十四松などには絶対に任せられない役目である。
さっすがチョロ松!もうお兄ちゃん、チョロ松愛しているぅ〜!と言ってじゃれるように抱き付く兄貴に「ちょっと重いって!おそ松兄さん!」と迷惑そうに眉を顰めて引き剥がそうとするチョロ松。
しかし、頭の中では、さて何処に行こうかな…と機嫌良く幾つものプランを立て始めていたのだった。
こうして、松野兄弟による傷心旅行計画が始まった。
それは、六つ子の運命を狂わせる旅路の始まりでもあった。
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出だしだけ書いて力尽きた