黒駄文

□天使カラ松の堕天
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 移動先は薄暗い魔界の森だった。

 真っ赤な魔毒が空を覆う魔界では、聖なる力は大きく弱体化し、通常の天使はろくに空を飛ぶことすらできない。
 だからこそ、天使であるカラ松を魔界に連れてきたのだ。

 掴んでいた後ろ手に掛けた手錠を手放して、ぐったりとしているカラ松を軽く蹴ってごろりと仰向けに地面に転がす。

 ふと視線を感じたので、顔を上げてみると、茂みの向こうから幾つもの光る眼があった。猫だ。一松の使い魔の猫たち。
 そういえば、ここは一松の森だったなと思い出す。

 転移魔法で移動先がすぐ近いという理由で此所を選んだけれど、一松の友人の前でおっ始めるのは失敗かな……一瞬、思ったが、たかだか下級使い魔ごときが高位の悪魔であるおそ松に、主人の指示なしで楯突くような真似はしないだろうと考え直した。
 現に今も猫は見ているだけである。特に実害もなさそうだし、敢えて無視することに決めた。

 仰向けに転がっているカラ松の上に覆い被さると、そうはさせまいと、カラ松が身じろいで抵抗の意志をを示した。



「どうせ将来一松とズコバコよろしくヤるンでしょ。なら、俺が今ヤっても問題ないよ。大丈夫、大丈夫」



 乗し掛かると、涙目のカラ松が悔しそうに顔を歪めた。その泣きそうな顔にちょっと興奮させられた。

 左肩に掛けただけの薄布を引き剥がすように強く引っ張るとあっさりと服が裂けて、裸身が露になる。下半身には何も穿いてない。



(……コイツ、下に何にも穿いてないじゃん)



 ノーパンだ。ノーパン。

 天使って清純で潔癖そうなクセに、神様にノーパンで仕えてんの?
 アイツらとんだビッチだったんだな。
 知らなかったわー。
 天界ヤバいよー。
 とんだオカルトだよー。



(とりあえず、帰ったらトド松の奴に教えてやろう。)



 魔界と天界の服飾文化の違いにカルチャーショックを受けつつも、下着を脱がせる手間が省けてラッキーと気持ちを切り替えて、カラ松の胸に手をのばした。



「やだやだ!やめろ!アホデビル!」



 抗うように身体を揺すって拒絶するように叫ぶ声を無視して、小さな種をコリコリと指で弄ぶ。触っていくうちに胸の先がぷっくらと膨らんでもっと触ってとばかりに先端を突き出してくる。口では嫌がっているくせにしっかりと感じている。

 ふと、地面に生えている猫じゃらしが目に入った。ここは猫が好きな一松が管理する猫の森なので至るところに猫じゃらしが生えている。
 手をのばして猫じゃらしを摘み取り、その柔らかそうな尻尾で乳首や太股を掠めるように撫でてやると「ヒぁっ!!」と甲高い声を出した。



「どお、気持ちいい?猫じゃらし」



 柔らかくもちくちくとした尻尾で胸の先に触れながら問い掛けるも、カラ松は身体を震わせつつも、一切声を出さないようにぎゅっと目を瞑って真一文字に口を引き締めて耐えている。
 こうなったら、どっちが音を上げるか勝負だ。
 絶対に声を出させるぞと燃えたおそ松は、もう一つ猫じゃらしを摘み取って左右の胸を擽るようにこちょこちょと撫でる。



「ヒぁ!!それっ、やめろっ!くすぐったい!」

「おー、乳首たってる」

「!」



 二つの猫じゃらしで胸を擽り続けるが相手は顔を真っ赤に染めながらも、なかなか声を出そうとはしない。しかし、体は正直なものでカラ松の上半身は乳首をおそ松に突き出すように腰が浮いてしまっていた。

 正直な体の反応が面白い。猫じゃらしで散々撫でられた乳首はかなり敏感になっているはず。試しに、猫じゃらしを捨てて、ぷっくりと突き出た肉芽を舌でぺろりと舐めてみた。



「ヒ、ァんっ!」



 やはり、軽い刺激を与え続けられた乳首は敏感になっており、舐めたついでに強く吸い付くとカラ松は全身をヒクヒクと震わせて、無自覚におそ松に胸を押し付けてくる。

 ツンッと膨らんだ尖りから口を離して今度はまた指で弄る。ちゅうちゅうとしゃぶられた乳首はうっすらと赤く色付き唾液に光ってちょっといやらしく見えた。反対側の突起もペロペロと舌で弄ぶ。



「ヒぁッ、いゃ、だ……やだやだやだ!いやだよぉ……いちまつ……ヒック、いちまつぅ……!」



 切なげなに声を震わせながら、カラ松が一松に助けを求めて泣き出した。猫たちが一松の名前に反応して、ざわめくのがわかった。



(余計な邪魔をすると、森ごと焼き払って焼き肉にしてやるからな)



 主の名前に反応した猫が邪魔に入らないように、周囲に殺気を飛ばすと、ざわめいていた気配が一瞬で静まり返った。

 使い魔への牽制が済んで、目の前の乳首に意識を集中しようとすると、また、カラ松が身体をよじって抵抗した。



「ヒック……こ、こんなことが、許されるとでも……」



 いちまつ、いちまつ、と泣きながら名前を呼ぶカラ松に、高ぶっていた気持ちが氷のように冷えていくのが自分でもわかった。



「……人の弟を誑しといてよく言うよねぇ」



 冷めた声で言うと、カラ松が不思議そうに首を傾げた。



「天使さん。俺さ弟が二人いて、そいつらのこと凄い大事なんだよ。でもさぁ、最近一つ下の弟がなんか天使に恋したみたいで、俺たち家族を置いて受肉するって言ってんのよ。それで人間になって徳を積んで天使になんだってさ。うちの弟君スゴくない?スッゴイ遠回りしてまでソイツのこと手に入れようとしてんの。どんだけ本気でその天使に惚れてんのってカンジだよねぇ。ほんっと、アイツバカというか健気というか、我が弟ながら凄いと思うよ……」

「え……もしかして……」

「そ。俺の大事な大事な弟。一松のことだよ」



 大きく目を見開いた天使の瞳の奥が、罪悪感に揺れているのが手に取るようにわかった。
 そうだよ。お前のせいでうちは兄弟がバラバラになる危機に瀕してるんだよ。



「お前、一松からすごく愛されてるよ」



 おそ松は、カラ松の泣きそうな顔を見下ろしながら、優しく髪を撫でてやる。



「でも、こっちは兄弟いなくなると困るんだよね。だって、一松は俺の大事な弟だよ?受肉して人間になって、さらに天使に生まれ変わるとか……何考えてんのお前ってカンジじゃね?なに受肉って?アイツ悪魔だよ?わざわざ人間なるって信じらんねーし。しかも、あの闇人形が天使に生まれ変わるとか百回死んでも無理だからね」



 撫でていた髪から指を離して、今度は耳元に顔を寄せる。



「だから、お前には堕天してもらう」



 呪いの言葉を囁くように、宣言した。
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