花と恋
□第2話 歯車
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「しかも先輩と既に会ってるのに名前知らないってどうなの?」
美菜ちゃんが怪訝な視線を向けてくる。
「ほんと羨ましい〜!私もまだ先輩と話したことないのに!」
「あーはいはい」
先輩と会った翌日、2人と一緒のときに花宮先輩を見かけた。
何気なく昨日会った人だと言うと、一斉に驚いた。
私が名前を知らないって言うとさらに驚いてたっけ。
「ね、ね、先輩と何話したの?」
「特に話したりとかは…職員室の場所が分からないって言ったら案内してくれただけで」
「その後なにもなかったの?」
「普通なにかあるものなの?」
「そりゃお礼のついでに番号交換するとか!」
「えー、花鈴ちゃんだけじゃないの?」
「普通はするもんなの!」
ぴしゃりと言われてしまった。
「まあまあ花鈴ちゃん、小絵ちゃんは先輩の名前も知らなかったんだし」
美菜ちゃんがフォローする。
あの日以来、花宮先輩と会うことはおろかすれ違うことさえしていない。
(あんなに性格悪いのに、人気があるってどういうこと?)