泡沫の長夢

□君と手を取り合って 1
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初めて出会ったのは、指輪から解放されて。
普通の女の子だと思った。トロイメアの姫だと言われてもすぐには信じられず……だけど、とても暖かく優しい力を感じられた。


恋に落ちたのは、いつの日だったか。
危なっかしくて放っておけなくて、俺が守ってやらなきゃと思っていたら……いつの間にかそれが恋に変わっていた。


結ばれたのは、あの日の夜。
初めて弱さを吐き出し、それを受け止めて包み込んでくれた。
彼女がいてくれたからこそ、俺はようやく過去と向き合うことができた。



そして……、




「姫」
「ん?なぁに?アヴィ」


彼女は今も、俺の傍にいてくれている。名前を呼びあい、手を繋いで、いつも隣で笑ってくれている。
幸せな毎日。何気ない日々も、姫がいるだけで鮮やかに色づいていく。


「これから町に視察に行くんだ。一緒に行くか?」
「うん、行く!すぐに仕度してくるね!」
「今すぐじゃないから、そんなに急がなくてもいいぞ」
「うん!」


頷くけれど、姫は駆け足で部屋に戻っていく。そんなところも愛しくて笑みが零れる。


今日は、気持ちのいい青空が広がっている。絶好のお出掛け日和だと使用人達が話していた。


今日はどこに連れていってあげようか。

そんなことを考えながら、俺も早めに仕度するために自分の部屋へと戻っていった。




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