甲斐

□才蔵1
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のどかな風景を木の上から眺める。

まるで戦など何もなかったかのように鳥がさえずり川が穏やかに流れる。


霧隠才蔵は返り血を洗い流そうと川辺に向かう。


すると川辺に人が横たわりその側に人らしきモノが佇むがその人物が異様な雰囲気を漂わせている。


才蔵:「(・・・なんだ?)」


才蔵は警戒の目でジッとそのモノを見るとそのモノが振り返った。


才蔵:「!!」


振り返ったモノの姿に内心驚愕するものの才蔵は鍛え抜かれた精神で表には出さない。


そのモノは血塗れに片方の目は抉られ見るには耐えない姿だった。



そしてキーンと耳鳴りがし


・・カーエセ・カーエセ・カーエセ・・チギリノハコヲカエセ・・


才蔵:「くっ・・」


急に激しい頭痛と悪寒が全身を襲った。


すると先程まで倒れていた女性が意識を取り戻し蠢く。


女性:「に・・逃げて・・」


弱々しく才蔵に言いながら懐から数珠を出すと眩い光を放った。


すると先程まで居た得体の知れ無いモノが消え才蔵を襲った頭痛と悪寒がすっかり消えて無くなった。


才蔵は倒れた女性の側に近寄るとその女性はうつ伏せのまま再び意識を失っていた。







見慣れ無い天井。


そして暖かい布団に寝かされている。


さっきまで霊障に苦しみ犯され自分は死んだと思っていたがどうやら助かったらしい。


女性:「・・・・ここは?」


才蔵:「気が付いた?」


顔を男性に向ける。


才蔵:「見慣れ無い着物だけどあんた一体何者?さっきの化け物は何?」


女性は才蔵をジッと見つめる。


才蔵はさっきまで着ていた忍び装束から普段着用の袴に着替えていた。


才蔵から明らかに警戒の目を向けられているのが分かる。


そして弟子の佐助に主である真田幸村に彼女の事を報告に行かせている。


遠くの方からドタバタと複数の歩く音が近づいて来る。


幸村:「才蔵!」


声と共に襖が勢いよく開く。


真田幸村が笑顔でどかっと座る。


お互い自己紹介するとどうやら先程霊障にあって居たのは才蔵だけではなかったらしく近くに居た佐助も怖い幽霊に怯えていたところ自分が助けたらしく才蔵と佐助を助けた恩人だと御礼を言われた。



幸村:「翠!今夜はゆっくり休むと良い」


翠:「ありがとうございます」
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