母が倒れたのは十七歳の秋だった。懇意にしていた町医者は申し訳なさそうな顔で匙を床に置いてきた。体力の低下を防ぐだけでも、と精一杯の助言をしてくれた後ろ姿に頭を下げて見送った。手には、大病院への紹介状がある。

 「遅れてきた夏風邪かしら。ごめんね、しばらくお弁当作れなくなっちゃって。でも、ちょっと休んだらすぐよくなるわ」

 病に伏せりながらも気丈に笑ってみせる母の、ぞっとするほど青白い顔を見て、承太郎は拳を握った。母方の血筋は遠い昔貴族であったという。今は、母一人、子一人の暮らしだ。出稼ぎで世界を回る父とは容易に連絡も取れない。それでも、父の稼ぎと、祖父母のささやかな仕送りのおかげで、一日一日、人並みの生活を送ることができていた。だがそれが上限だ。原因不明の病気が治るまで、見通しの立たぬ入院をし続けていられる蓄えなど到底ない。行動は、早い方がいい。その日の内に承太郎は学校を退学した。世話になった教師には礼を言い、引き留めようとする言葉には首を振る。クラスメイトにも止められた。友人には胸倉を掴まれた。彼らの気持ちは嬉しいが、だからといって金を貸してくれとは言えない。学帽を被り直して別れの挨拶とした。承太郎に悲壮感はない。学べないことは残念だし寂しさもあったけれど自分を可哀想とは思わない。同世代よりも少し早い青春の終わりだと思うだけだった。境遇を哀れむ暇があったらまずは動く。

 必要なのは金だ。

 この国では原則、未成年が働くことを許されていない。

 「と、されているんだけれども」

 職業斡旋所から溜息と共に出てきた承太郎の袖を引いた、老婆の囁き。そして意味深な視線。どれだけ取り締まろうとそれでは社会は立ち行かない。現実、法の網目をかいくぐって働いている子供はたくさんいる。承太郎もそれを最後の手段として考えていたので、金が要ると素直に告白した。どれくらいだい、老婆はそろばんを出して見せる。路地裏の細い通り、承太郎は小さな珠を指で弾いた。老婆は目を剥く。当然の反応だろう。金勘定に疎い承太郎にも分かる。これは、大金だ。入院には一括の費用を求められていて、日雇いや月給で稼ぎきれるものではなかった。そうなると。

 「身売りだねえ」
 「おれ自身を?」
 「ええ、ええ。若い労働力としてぜーんぶ丸ごと、お買い上げ」
 「人身売買というやつか……イリーガルだな」
 「借金返済するまで自由はない。その借金も日を重ねるごとに」
 「利子も法外なんだろうな」
 「とっても辛い道ですじゃ」

 聞いてもいないのに、自分にも息子がいるから心が痛む、と話し出し、おろろんおろろんと泣く老婆を見下ろす。

 「教えてくれや。おれは一体いくらなんだ」

 値踏みされようという身でありながら、いじけず腐らず揺るがない、承太郎の真っ直ぐな立ち姿に、老婆の目がぎらりと光る。



 手違いだ。頭を抱えるオーナーに対し、承太郎は咥え煙草を揺らす。経営者も大変だな、と、社会経験のない少年として、まるっきりひとごとの同情をしていた。



 体格が良いから体を動かすやつがぴったりだろう、確かそういう募集があったような……嬉々として動き始めた老婆に任せるがまま、あれよあれよという内に『手続き』は進んでいった。老婆は仲介屋のさらに仲介だったらしく、何人かに引き会わされた。承太郎としては望んだ分だけの額がとりあえずでも手に入るのならどうぞよしなに、という感じで、自分の値段が交渉されているあいだも文字通り傍から眺め、傍観していた。そうして決まった『就職先』、ひょっとすると『永久』と『永住』が付くかもしれない今後の身の置き所が決まった時。身辺整理の名を借りて、病院を訪ねた。突然降って湧いた『援助』にさぞ困惑しただろう祖父母の姿が運良く見当たらないのを確認してから、個室を開くと。

 「おふくろ?」

 これもちょうど良いことに、母は眠っていた。

 「ちょいとばかし留守にするから弁当の心配はいらねえぜ……今まで美味い弁当、ありがとう。かあさん」

 祖父は大激怒するだろう。祖母はそれ以上かもしれない。何より、母を悲しませることになる。でも、病気が進行すれば悲しむことさえできなくなる。それはいやだ。自分がいやだと思うから、する事なのだ。自分のためだ。だからせめて気に病まないでくれ。元気になることだけ考えてくれ。眠る母の細い手を撫でて、そっと握って、子供の時以来、頬にキスして、願うのはそれだけ。

 その足でやって来た、この館。窮屈な社会の中のガス抜き場、あらゆる娯楽快楽を提供する場所、いわゆる色街の一角を牛耳る大きな娼館。斡旋状という名の領収書を持って訪ねた承太郎に館のオーナーは目を丸くし、次いで嘆いたのだ。鏡台や化粧道具、過激な衣装、香水の匂い漂う部屋に響き渡る。

 「手違いだ!」

 肩辺りで左右に跳ねている髪を全部揉み込むいきおいで頭をかきむしっているオーナーには悪いが、承太郎は問題があったとしても構わなかった。金は受け取っているのだ。手違いでも間違いでもなんでもいい、支払われた金額分、自分に与えられた『仕事』をこなすのが筋というものだ。承太郎は真面目に働こうと思っていた。煙草を吹かしポケットに手を突っ込んだ態度ではいまいち伝わらないだろうが。

 「そりゃあ確かに条件に書いた! 健康的で発育の良いティーン、瞳の色はグリーンが好ましい、うちの店にいないからな。学と品のないバカはお断り。で、あと初物、これ絶対条件。ああ、全部合ってる。当て嵌まってる。だが、だがなあ……ちょっと考えれば分かるだろ……こんなにでっかい『オンナ』が売れるか!」
「おんな……用心棒じゃあねえのか?」

 怒涛の嘆きから自分には馴染まない単語を聞き拾い、さすがに承太郎も聞き返した。

 「あちらさんはそう勘違いしてくれたみたいだが! 処女のガーディアンなんてフツー欲しがるかッ?」

 要するに、貼り出していた求人情報と仲介との間に齟齬があったようだ。オーナーの横で化粧をしていた褐色肌の女が鼻で笑う。

 「返品すれば?」
「不可なんだよ」
 「じゃあもう、売れないならそのまま用心棒でいいんじゃあない? ダン」
 「そこはもう足りている。ただでさえシフトの取り合いだ」
 「男の子は久しぶりだもの。喜ぶ客も、いるかも……あら」

 もう一人の女、やたら露出度の高い、というかもはや水着を着ているに等しい女が承太郎の姿を認めた瞬間、口紅を取り落とした。承太郎がそちらを向いた時には既に、一気に距離を詰めている。微かに海の匂いが香る女は目をきらきらと輝かせ、両手を組んで、艶やかな唇を開く。

 「煙草は厳禁、ニコチンなんてお前の魅力を損なうわ……でも、綺麗な子……ねえこれ、あたしが買う」

 この女なにものだ。こんな大男から煙草を奪うだなんて。しかも、それなりに喧嘩の場数も踏んできた自分のふところへこうも容易く侵入した。初めてのことに一瞬硬直した承太郎の喉をネイルでなぞり、つま先立ちでなお近付いてくる。跳ね退けられなかったのは女の片手が尻を揉んだからだった。どうして、女が、男の、尻を。

 「その怯え方……そう、本当にヴァージンなの」

 微笑む女がちらつかせる赤い舌。育ちの良い承太郎には知らない世界があった。

 「う」
 「あん」

 唇が触れ合う寸前、割って入って引き剥がしたのはダンと呼ばれたオーナーで、承太郎を押し退ける傍ら、同時進行で女へ手を振る。

 「お前は早く客の所へ行けミドラー。マライアも」

 えー、だの、命令しないで、だのお世辞にも素直と言い難い返事をしながら部屋を出ていく。身支度部屋を出て、彼女らは客の元へ行くのか。一晩のため、もう何度も殺した心をまた殺して夜を越える、のか。全く知識がないわけじゃあない、色々なものの裏を見ることになる覚悟もしてきた、けれど実際目にするとやっぱり少し、心が痛む。

 「他人の心配をしている場合じゃあないだろう」

 今度はダンに顎を取られた。ぎり、と掴んだまま、右へ傾けたり左へ逸らしたり、角度を変えて承太郎を見つめるダンは、さっきまでの嘆きのオーナーじゃあない、『その道の者』の目をしている。経験はないが、なんとなく分かるものだった……自分の体に迫るその種の危険とは。これまでの『値踏み』とは質が違う……肌で感じている。顎以外、一切触れられていないのに、視線だけで暴かれていくような、心許なく、おぞましい感覚。臍から下をじっと見つめられると、より酷い吐気が込み上げてきた。ダンの手が外れたのをいいことに承太郎はやや顔を逸らしつつ、無意識のうちに両脚を閉じている。

 「見た目はいい。恥じらう仕草も悪くねえ。のに育ち過ぎだ。が……抱かれたいって野郎は、いるかもな」
 「やろう」
 「勿論そうだとも。女なんか早々来ない。もっぱら男だ。客はな、鬱憤を溜めているやつが多い。だから」
 「ぅあッ」

 突然、股間をわし掴まれてびくつく体を壁に押し付けられた。足元に転がる化粧道具を蹴り飛ばし、密着して、ダンは息を吹き込んでくる。こんなもの自分には関係ないねって思っているんだろうがなァ、耳へ息吹を押し込んでそう言いながら、急所を握る。強弱を付けた手つきは、巧みだった。自慰しか知らない承太郎には恐ろしいぐらいに。

 「関係なくねえんだよ」
 「ぐ、う……やめ」
 「お前は金で買われたんだ」

 は、と頭が冴えた。そうだ。とうに取引は終わっている。なんでもできるし、なんでもすると決めた、自分で。誓ったのだ、自分の心に。承太郎は戸惑いに震うだけだった腕に力を込める。ダンの手首を掴む。殴られるとでも思ったのかぎょっとして退こうとしたダンへ、今度は逆に自分の体を押し付けた。手に、強く触れさせる。

 「しろ、と言うのなら、やるぜ」

 これから身売りする者とは思えない力強い意志を全身で示す。ダンの、呆気に取られていた顔が崩れて笑みのかたちに変わり、哄笑も、は、はは、と大きくなっていった。

 「いいなあそのツラ。お前のような雄らしい雄を屈服させたいって輩も、いるかもしれないぜ。それと」
 「くッ」
 「おれと話す時は屈んで見上げろ」

 手加減のない平手打ちに視界がぶれる承太郎の、切れた口から流れる血。一度、親指に塗りつけてからあらためて唇に塗りつけて、ダンが嗤う。ようこそ。蕾さん。咲き方は、これからみっちり教えてあげる、と。承太郎は口内の血をごくりと飲み込み、下して、強く頷いた。



 妙齢の女性からまだ幼さ残る少女、二次性徴の始まる前の少年、物腰たおやかな青年まで、客が指名できる名、それらがずらりと記された一覧表の目立たない端に承太郎の名が載ってもう何日経ったのか。数えもしないで、承太郎は本を読んでいる。通っていた学校の教科書だ。勉強は、学ぶことは、楽しい。だから昨日の夜もこうして時間を過ごした。今日の夜もだ。明日の夜だって、きっとそうだろう。案の定売れねえ、と目に見えてイラつき当たってきたダンも今では諦めたのか何も言わない。放っておかれている。しかしこのままだとただの穀潰しだ、承太郎は自主的にできることをした。掃除をしてみたり、客との小さなトラブルを仲裁したり。そのうち、用心棒になれるかもしれねえな、と思った。教えてやる、と言っていたダンも多忙なのだろう、売れる価値のない承太郎を仕込む余裕がなさそうだった。そのせいで承太郎はいまだ閨を知らずにいる。これには正直、ほっとしていた。気持ちのない相手に、この身を明け渡す、というのは承太郎にも躊躇いを抱かせる。ダンに触れられた、あのたった一回でさえ、受けた衝撃は大きくて、他者の気配に敏感になってしまった。待機部屋の隅の、ひときわ大きな椅子に腰掛けて本を読む、ひとりの、この時間が承太郎の安寧になっていた。

 「承太郎」

 聞き慣れない声に、目が文字を見失う。頭に刻んでいたはずの公式が全部飛んでしまう。呼ばれただけでは、こうはならない。承太郎は息まで乱した。だって、声が、こんなすぐ近くから……ともすれば真後ろから、聞こえてきたものだから。

 「そうだお前だ。承太郎。来い」

 振り向く猶予もくれなかった。千切れるんじゃあないかという力で引き上げられた腕がそのまま持っていかれる。腕に置いていかれないよう、承太郎の体はずるずると後を追う。よどみない足取りで前を行くのは男だ。揺れる髪は黄金色で、赤い照明に照らされた薄暗い通路の中、まるで道標のように輝いている。少女が乱暴に連れていかれている光景は見過ごさなかった。涙を堪える少年の肩を叩き、客をぶっ飛ばしたこともある。けれどいざ自分がその立場になったら。

 「いてえ」

 服越しに腕の肉へ食い込む指に対して、小さくうったえるのがやっとで、それが情けなくて、たまらない。だがここへ来た経緯を考えると振り払うわけにもいかないから、脚は動く。悔しさや怖気を昇華させようと大きく息を吐いたら、不意に、握力が緩くなる。おれが、痛いと言ったから? あんな小声、恥ずかしい弱音を、聞かれていたのだろうか。顔に熱が上った。男の手はまだ承太郎の腕と繋がっているけれど、握るというよりもまさに繋ぐ程度の強さで、引っ張る力もなくなって、だから、承太郎は自然と早足になっていた。先を行く男と離れないように自分で歩いた。そうして、『する』ための部屋へ向かう途中、ダンと擦れ違う。『手違い』騒動の時でもここまでの驚愕はなかった……口を開閉させて、ダンは掠れ声を必死に紡ぐ。

 「え、今夜は、そ、それを」
 「ああこいつだ。決めた」

 あっという間に通り過ぎてしまったダンに知り合いなのかと聞きたくて振り返ろうとしたが、ふたたび骨ごと腕を握り締められ、叶わない。承太郎は男の背中を見つめて闇へ向かうしかなかった。

 開け放たれた扉。片腕のみの力で簡単に、部屋の中へ放り込まれて承太郎はその怪力に、抵抗の無意味を悟る。勝手に閉まっていく扉の異常さに気を取られれば襟首を掴まれてさらに遠くへ投げられた。頭を打つことだけは避けようと受け身の姿勢を取る……それも無意味に終わった。背中が落ちた先はベッドの上。見上げた天井が、やがて遮られる。上着を脱いだ男が承太郎の頭を挟むように両腕を突き、見下ろしていた。一対の瞳は承太郎の目を見つめている。ベッドに沈められる段階になると返って冷静になれる……はずがない。気を抜けば震えてしまうだろう体を全力で制して、ただただ男を見上げた。こんな状況での礼儀も作法も、なにも教えられていない……そのことを言い訳に、承太郎もまじまじと男を見つめる。

 「承太郎……いい匂いがするな、お前は」

 それはそういう決まりで毎回風呂に入っているからな、とは言えないほどに、男が描いた笑みは美しく、甘い。なんで、そんな顔をしているんだ。男をどうにかしようとしている男が、する表情じゃあない、気がした。では何なのか、これはどんな時に見せる顔なのか、と自問しても、上手く言葉にできない。男の指が額にかかっている前髪をどける。夜の寝台、初めての触れ合いに、手がシーツにしわをつくる。

 「物憂げだな」
 「や……おれでいいのか、と思ってよ」
 「不思議か?」
 「あんたみたいな、きれい、な野郎におれが似合うとは思えねえ……抱かれたいってんならまだしも」
 「わたしがお前を選んだことに」

 理由がほしいのか? 承太郎の逡巡を覆うように、鈴の音のようにくすぐったい笑い声を零す男が首筋へ口付けてくる。肌を濡らす唇の感触もさることながら、細い金糸に不規則に撫でられて承太郎は身震いした。また、男が喉を鳴らす。

 「こういうものは、勘だ」
 「テキトーだな」
 「違う。引力だ。お前も今に分かる。わたしを受け入れたら……わたしと」
 「う……そこ、は!」
 「ここで、この奥で繋がったなら」

 男の手のひらが脚の付け根、性を押した。いやだ、と体が、心が、叫ぶ。容赦なく握り込まれた記憶がよみがえり、思わず力む。それで痛みをやり過ごそうとしたのだ。けれど、承太郎が得たものは予想していた感覚ではなく。

 「あ、あッ……んん!」

 包み込み、撫でさする手にあるのは、心だった。男は、片手で承太郎をゆっくりと優しく導きながら、口では承太郎の肌を舐めて噛んで、少しずつ、食んでいく。承太郎は抑えの効かない声を漏らして身を捩る。シーツが波を打つ。ちっとも本気ではない逃げに、気を良くしたのだろうか、男は顔を上げて、いよいよ口でのキスでもしようと思ったのかもしれない。だが、承太郎を見て、固まった。

 「貴様まさか……未踏の雪か」

 言っている意味が分からなかったので承太郎が黙っていれば、結局ひとりで答えを見つけたらしい。承太郎の眦に薄く溜まっていた雫を、男は掬う。

 「こんな所に身を置いて荒らされていなかったというのは……まァ喜ばしいが、しかし普通ならばあり得ないこと……いや、だからこそ、やはりこの出会いは」

 驚きと嬉しさと、もうひとつ何がしかの感情を綯い交ぜに呟いて、承太郎の不安げな視線に気付くと、男は三度、笑う。また違う種類の笑みだ。唇だけでなく頬まで緩み、つり気味の鋭い眼が和いでいる、そんな微笑を向けている。向けられている承太郎には、素の笑顔、のように見えた。

 「今宵より先、お前の時間、お前の夜はこのDIOが買った」

 男は、DIOは、承太郎の額へキスを贈った。



 『DIO』が高値をつけた。『あのDIO』がとんでもない大金を叩いて買い占めた。噂が噂を呼び、皮肉なことに承太郎への注目が始まった。買いたいと名乗る者が出るとDIOがまたぐっと引き離す。ついていこうとする者はいるが、ついていける者はいない。誰に体を開くことも心を砕くこともないまま。

 「どうして抱かないんだ」
 「求められるがこのDIOの性よ」

 お前がその気になるまでは百年だってこのままでいい、と。ベッドに寝転がって朝まで過ごす。DIOの腕の中に守られて承太郎は価値だけひたすら上げていく。



 聞いたかい? いまだ蜜の一滴も吸われていない花があるらしい。



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