捧げもの

□スーパー目の保養タイム
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『はぁ〜、今日もカッコ良いねぇ』

「…」

『もちろん周助もカッコ良いよ!』

「うん」



私はこの不二周助という男と付き合わせて貰っている名無しさんです。
面食いの私がこんな見目麗しゅう殿方とお付き合い出来るだなんて、まるで夢のようなお話ですが夢ではないのです!
そして私はなんと言っても面食いなのです!
イケメンに目がないのです!!
例え彼氏が出来ようとイケメンに目がいってしまうほどのイケメン好きです
そしてそんな私の彼氏は結構嫉妬深いのです




「ねぇ、名無しさん」

『なに?』

「もう部活には来ないでくれるかな?」

『え…』




彼氏のお願いは出来るだけ聞きたい
と言うより、イケメンに弱い私は周助のお願いなら何でも聞くんだけど
これは聞き捨てならない!




『それじゃあイケメンが見れないじゃん!』

「名無しさんは僕の言うことが聞けないの?」

『分かりました!もう来ませんっ!!』




真っ黒い笑みで言われてしまえば、誰だってこうなりますよね。はい、彼氏に対してチキン野郎こと名無しさんです。
しかし、勢いで言ってしまったがどうしたものか…
テニス部には素晴らしいほどに美少年が揃っていると言うのに、来れないんじゃ私の楽しみが減ってしまう!そして何より周助のカッコ良い姿が見られなくなるだなんてっ!
これは由々しき事態に発展したようだ


浅はかながら説得を試みよう




『ねぇ、周助』

「何?」

『どうして来ちゃいけないの?』

「名無しさんが僕以外の男に目を向けるから」

『でも、周助のことが一番好きだよ』

「知ってるよ」




そんなことを言って軽くキスをするものだから、私はもちろん骨抜きです
周助ってば、今部活中なのに…恐るべし
しかしこれで流される私ではない!




『周助のカッコ良い姿が見られなくなるなんて、耐えられないな…』




どうだ、この角度からの上目遣い!渾身の一撃!!
これは本心だから、勘繰られても平気だし




「それでも駄目」

『えぇ!?』




私の上目遣いが効かないだと!?
確かにこんな平凡な顔を持つ女の上目遣いなんてたかがしれているけど、これでも彼女だよ?
恋は盲目って言うし、彼女の上目遣いなんて犯罪級に可愛く見えるものでしょ?何で効かないんだっ!!




「名無しさん」

『なに…?』

「名無しさんは僕だけじゃ駄目なの?」

『へ?』

「僕だけじゃなくて、手塚や菊丸もいないと満足できない?」




頬を優しく両手で挟まれ私の目を見つめて真剣な瞳で言われる。
至近距離なため、周助の美しい顔しか目に入らない訳で…頭の中が周助のことで一杯になる




『そんなわけないじゃん』




もちろん否定する
だって、どんなイケメンがいた所で周助に敵う人はいないんだから




「うん、そうだよね。じゃあ明日からは来ないこと。いいね?」

『あ…』




墓穴をほってしまったぁあぁあぁぁぁ!!
いや、いいんだ。だって本当のことだし
周助のこと好きだし、これ以上周助を嫉妬させても自分の首をしめるだけだし・・・(涙)


でもやっぱり目の保養くらいしたかった






――…






なんてさ、私が大人しく言うことを聞くと思うなよ!!
イケメンのためだったら、例え火の中 水の中 草の中 森の中 土の中 雲の中 あのコのスカートの中だろうと私は駆け抜ける!




「へぇ」

『しゅ、周助…いつからそこに?』

「少し前から」




昨日あぁ言った手前、堂々と見に行くのは流石に悪いと思い。草むらに隠れて練習を見ていたのだが、運悪く見つかってしまったようだ
周助…笑ってるはずなのに怖いです(汗)




「名無しさんはどうしてそこまでして見に来るの?」

『イケメンが私を呼んでいたから』




いい顔で言い切ったつもりだったが、周助は呆れてしまったようで




「名無しさんの好きにしたら良いよ」

『え?』

「どうせ、何を言っても聞かないんでしょ?」

『よくお分かりで』

「ただし!」

『はい!』

「僕以外は見ちゃいけないよ」

『…』

「返事は?」

『ふぁい!!』




周助にしてはだいぶ譲歩してくれたと思っていたのに…なんだそれは、意味がない
訳ではないが、他の人も見たい




『でも、やっぱり周助が一番だよねぇ』




コートに入っている周助を見つめる
本当にカッコ良い
はぁ、と感嘆のため息をこぼす。
こんな美しい人が私の彼氏だなんて本当に夢のようだ
周りのイケメンなんて目じゃないね!




『周助カッコ良いよぉ!!』




私の目は今達観している
名付けてスーパー目の保養タイム
周助しか見えていない私のこと意味する


少し離れたところで
不二先輩の彼女って相変わらずスゲェと聞こえた気がしたが、何のことだかサッパリだ




『周助カッコ良かったよ!さっきの、ツバメ返し?決まってた!!流石だよ!!』

「ふふっ、名無しさんに褒められると嬉しいなぁ」

『本当?だったらもっと褒めてやろう!!』




なんだかんだで私たちはラブラブです♪






――…






『はぁ〜、今日もカッコ良いねぇ』

「…」

『もちろん周助もカッコ良いよ!』

「うん」




そしてまた振り出しに戻るのであった…。






END

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