中編

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顔合わせずらいとかなんとか思ってたけど、実際私達ってあまり話さないから気にすることは無いのかなぁ…なんて、思ってた時が私にもありました。
今目の前に居る人物は私が愛して止まない人
誰もいなくなった教室で助けてくれる人はいない
今日1日、話し掛けてくることもなければ目を合わせることもなかったから、越前くんにとってどうでもいいことなのかと思ってた。
でも、放課後に呼び止めてまで聞きたがるってことはよほど怒っているとしか思えない訳で…




『怒ってる…?』

「なんで?」

『なんでって…』




越前くんに用事だったのに、仲介役に堀尾くんを選んだこと
と言えば眉間に皺が寄る
私変なこと言っちゃった!?




「名字ってさ、鈍感?」

『へ?』




放たれた言葉と共に近付いて来た越前くんに対し、間抜けな声が出た
恥ずかしい
とか思っている暇もなく
越前くんの手が私の髪を梳く


い、いったい、どういう状況だろう…?




「鈍感だよね。
ああいうのって普通、本人に直接渡すでしょ。」

『ごめんなさい』

「よりにもよって堀尾に嫉妬するとかしたくなかった」

『?』

「…ここまで言って分からないなら、名字は相当鈍感だね」




そんなこと言われたって疑問符しか浮かばない
他の皆は分かるのかな
だとしたらやっぱり私って鈍感?




「名字見てるとさ」

『なに?』

「イライラする」

『え…?』




今まで私の髪を梳いていた手は離れ、教室を出て行く
教室に1人残された私
さっきのってどういう意味だろう


イライラする


好きな人に言われてさ、傷つかないはずがないよね
バカみたいバカみたい
ちょっと話せるようになったからって越前くんに近付いたとか…そんなこと、あるはずなかったのに…




『バカ…みたい』




でも




『好き』




好きだよぉ
どうしようもなく好き
だからお願い
もう愛されたいとか思わないから


好きでいさせて
今はただそれだけ…






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