中編

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こういう時にだけ先生には感謝しよう
ありがとう!!




「ただ勇気があるかどうかだよねー」

『うっ…今までだって何度か喋ったし、だ、大丈夫!』

「そ、なら安心して部活に行けるわ。じゃあねー」

『あ…』




ついて来てほしかったなんて今更言えない
いや、大丈夫!!
1人でもこのプリントを越前くんに届けるんだ!




と意気込んだのも束の間、テニスコート近くでキョドっています。
はい、チキン野郎ですごめんなさい
誰か知り合い…って言っても堀尾くん位かいないけど、いないかな?と言うより私に気付いて!!




「名字?何してんの」

『堀尾くんいないかなーって』

「呼ぼうか?」

『そうしてくれると助か…』

「?」

『△※☆∀о□♂♀♪〜!!』

「!?ちょっ、名字?」




まさか越前くんだとはっ
越前くんとは思わず喋ってた
ちょっ、どうしよう!
心の準備が…以前に堀尾くんを呼んでって言っちゃった!
本当の目的はあなたです。越前くん!!




「取り合えず、落ち着けば?」

『う、うんごめんね』

「で、堀尾はどうする?」

『あ、ううん!違うの』

「は?」




うわっ、眉間に皺が寄っちゃった
怒ってるかな?
ごめんなさい


私は無言でおずおずと手に持っていたプリントを渡した
受け取ってくれたけど、分かったかな?




「俺の?」

『う、うん』

「サンキュ」




去って行く越前くん
あぁ、もっとお話したかったけど…仕方ないよね。部活中だし
とか思いつつ、いつかのように見送っていると越前くんがピタッと立ち止まり




「なんで堀尾を呼ぼうとしたの?」

『なんでって…』




冷静になってよく考える
堀尾くんを呼ぼうとしたのは越前くんと向き合って喋るのが恥ずかしかったからであって
なんで恥ずかしいって聞かれたら越前くんのことが好きだからであって…




『〜〜っ、』




言えないよ。そんなこと…
第一なんでそんなこと聞くの?
プリントは行き渡ったんだし別にいいじゃん




『部活は?大丈夫なの!?』




自分でも驚くくらいの大きな声が出た
でも、話しをずらさないと私がどうにかなっちゃいそうで…




「今休憩中だし、少しくらい大丈夫」

『そ、そうなんだ』




どうしよう
打開策がないよ。助けて誰か!!




「ねぇ、答えてよ」

『それは…』

「俺のこと、嫌いだから?」

『違うよ!』

「じゃあ堀尾のことが好きとか」

『違うって!』




なんで的外れなことばっかり言うんだろう。当てられたら、それはそれで困るけど
越前くんは私をからかいたいのかな?きっとそうだよね
私の反応が面白いから、からかってるに違いない!




『越前くん!』

「なに?」

『私用事があるから今日はこれで、じゃあね!』




逃げるが勝ちってね
私は全速力で走った
それはもう、道行く人たちが二度見するほどの速さで
今ではもう、この心臓の高鳴りが走ったせいなのか越前くんのせいなのか分からないくらい…




『明日…顔合わせずらいや』




呟いて、私はベッドにダイブした






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