バク獏

□上手く行かない関係
1ページ/1ページ


今日、バクラはとても怒っていた。今はまだ学校に居るんだけれど、いつ身体を乗っ取られるか分からない。

原因は遊戯君達だ。

朝、彼らが仲良く話している姿を見た。勿論、もう一人の遊戯君は見えないけれど……。大体は予想出来た。
その事が原因で、バクラはとても怒っていた。突然僕の身体を乗っ取り、その怒りの矛先を、トイレの鏡に向けていた。
僕は黙って見てるしかなかった。分かってるもの。君が、人間じゃ無いって事ぐらい。
そして気が済んだのか。バクラは引っ込んだ。僕は少し安心したけれど、この鏡の事、どうしよう……。まぁ、先生も僕がひ弱だって事知ってるから、疑う事はないと思うけれど……。


授業中も、バクラは無言だった。と、言うより威圧感は酷かった。だから僕は、徐々に疲れて行った。


そして、気付いたら僕の意識はなかった。けれど慌ててバクラが代わってくれた。


「ねぇ、獏良君、帰り暇?」
「あー……ごめん遊戯君。今日父さんが帰って来るんだ。だから晩ご飯の仕度しないと……」
「あっそうなんだ!ごめんね、呼び止めて!それじゃまた明日!」
「うん、明日ねー」



「………ったく、だらしねぇ宿主様だな。どんだけ精神力ねぇんだよ」
「……ごめんなさい」
「俺様が居て良かったな」
良く言うよ。全ての原因は君なくせに……。帰って来て、バクラは台所に向かった。僕と代わっているバクラは、料理をして、晩御飯を作ってくれた。
「身体、変わって食え。俺様が食っても、意味がねぇ」
「……そんな事ないけど」
「とにかく、代わって食え。お前、昼飯もろくに食わなかったじゃねぇか」
「………」
僕はバクラが作ってくれた晩御飯を食べた。この優しさが、僕の心を少し傷付けた。

食べ終わると、僕は眠気が来たので、寝たいと言った。そうしたらバクラは勝手にしろと言って来た。何だよ、もう少し僕の事を想ってくれても良いじゃないか……。
僕は布団に蹲ると、涙が出そうになった。
こんな関係で良いのだろうか。そう、ふと疑問に思ったのだ。
僕らの関係は、とても良いものではない。最悪な関係だろう。けれど僕はバクラを求める。それは……今の僕には支えが必要だから。

だから、バクラが必要何だ。
お願いだから、消えないでよ、バクラ。









END

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ