バク獏

□夏の空
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その日はとても暑かった。朝からエアコンを付けないといけないぐらい、暑かった。電気代を関係なしに僕は朝からエアコンを付けていたんだ。暫くしてから、バクラが起きて来た。
「おはよう」
「………あぁ、はよ」
とても眠そうなバクラ。昨日、もしかして暑くて眠れなかったのかな。
「眠れなかったの?」
「ああ。暑くてな」
「やっぱり。エアコン、付けても良かったのに」
僕らは違う部屋で寝ている。何でかって?バクラがそうしたいって言ったから、父さんの部屋を貸してるんだ。
「暑いね」
「ったく、こんな暑さで寝られるかってんだ」
朝から機嫌が悪いバクラ。全く……。僕は朝ご飯を作る事にした。
「朝ご飯、何が良い?」
「あー……、パン」
「うん、分かった」
大体機嫌が悪いとパンなバクラ。ちょっと面白いよね。

僕は朝ご飯を作って、バクラに食べさせて。今日は休日だから、一日中ゆっくりしている事にした。窓から見える空は、夏の空だった。その事にもっと暑さが増したかと思った。
夏の空……それは、とても雲が多い事。そしてその雲はとても厚い。冬の雲に比べて厚みのあるそれは、本当に夏を思い浮かべさせる。だから、あまり好きでは無かった。
「今日も雲が多いね」
「多い方が良いだろ」
「まあね」
バクラはソファーでTVを見ていた。僕はそんなバクラには目もくれずに、空を見ていた。ベランダを開けようかと思ったが、生暖かい風が室内に入るのも嫌だし、開けなかった。
窓越しに見ても、暑そうな外。そして空。鳥や虫は、良くこんな暑い外で生きていけるね。僕ら人間には無理だよ。そんな時、TVからこんな声が聞こえて来た。
『今日の最高温度は場所によっては34℃を越す所があると思われ―――』
勘弁してよ。そんなに暑いんじゃ、外にも出れないじゃか。今日、買い物に行こうと思ってたのに。
「………宿主」
「うん?」
「買い物、良いのか?」
「………ね、どうしよう」
バクラもその事には気にしてたみたい。まあ、そうだよね。買いたい物、あったみたいだし。
「…外に出たくないんだよね」
「けど行かないと、冷蔵庫の中、食料がねぇだろ?」
「うん………」
仕方ない、行くか。僕は買い物に行く仕度をした。


そして仕度を終え、僕はバクラと一緒に買い物に行く事にした。エアコンはつけっぱなしで行く事にしたんだ。
玄関を開けると、生暖かい風が入って来た。あぁ、出たくないな。そうして外に出て。暑い日差しの中、僕らはスーパーへと向かった。
「あちぃ……」
「ね……」
暑いせいで会話が続かない。けれどバクラはひたすら暑いって言ってた。だからそれが面白くて笑っていた。

この空は、そんな暑さを知らないぐらい、青かった。太陽もお構い無しに輝いていて。太陽が地球に近付いたかのように、去年より暑い今の季節。不思議だよね。こう思うと。
さっさと買い物を済ませて帰ろう。そうしてゆっくりしよう。暑さは毒だしね。


スーパーの中は、とても快適だった。バクラにカートを任せて。僕は買う物をどんどん入れて行った。


そして買い物を終えて。重い荷物はバクラが持ってくれた。こう思うと、やっぱり誰かと一緒って良いなって思ったり。
家に着くと僕はソファーにダイブした。
「涼しーい!」
「付けて出て、正解だな」
とても快適なその空間。本当、バクラの言う通りだよ。ソファーから降りて、冷蔵庫に買った物を詰め込んで行った。


そして、ソファーにもう一回座って。TVを付けた。隣にはバクラも座って来た。
「宿主。俺様、昼から出掛けるぜ」
「え?何処に?」
「散歩だ」
「暑いのに?」
「ああ。カードを買いに行く」
あぁ、なるほど。良いよって僕は言った。ついて行く気にはなれないしね。


今日も日本は暑いです。










END

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