夏の記憶

□#4
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〜アヤノ〜




今、私と柊亜ちゃんはいつも柊亜ちゃんが座っているテレビで"今"の現実を見ている




カノ、セト、キドは私が考えた秘密組織"メカクシ団"を作っていた






シンタローは高校をやめて家に閉じこもるようになっていた…






そして…






ア「うそ…そんな…っ」






『どうやらアイツの計画は続行みたいだね』



柊亜ちゃんがつぶやくように行った声も聞こえない








榎本先輩と九ノ瀬先輩はお父さんの計画に巻き込まれていた…







嘘だと思いたかった







大好きな先輩たちの命がお父さんの手の中に落とされてしまったなんて…









ア「でも…っなんで!?」





私が蛇の力を手に入れたら計画は中止されると思っていたのに…


と思考がぐちゃぐちゃになっていく







『…きっと大丈夫』



次の柊亜ちゃんのつぶやきははっきりと聞こえて


私は柊亜ちゃんの方を見た


『現実世界にすべての蛇が集まらなければアイツの計画は失敗に終わるから』






柊亜ちゃんはそう言い切ったけどそれでも先輩たちは…










『大丈夫だよ』









柊亜は少し低い声を出し、鋭い目をした



『あんなヤツの計画通りに動いてたまるか…っ




あの子の"幸せ"は私が取り戻す…











今度こそ私が守ってみせる…』








その瞳はこんなにも幼い少女のものとは思えないほど強く‥そして憎しみを秘めた瞳で






私は背筋に冷汗が流れるのを感じた







ア「ぁ…あははっ…なんかすごいなぁ‥柊亜ちゃんは…」





私は素直にそう思った






『…そんなことないよ…アヤノと一緒だよ


誰かの幸せを守りたい‥ただそれだけだよ…』







さっきとは打って変わって少し悲しみを秘めた瞳になった









顔を伏せているからはっきりとは見えないけど柊亜ちゃんの特徴的な紫の目はかすかに潤んでいるように見えた








ア「ねぇ‥柊亜ちゃん‥

今言うのも何だけど、柊亜ちゃんの大切な人ってどんな人なの?」





私は少し慌てて話題を変えた









『…じゃあ少し昔話をしようか』





柊亜ちゃんは相変わらず顔を伏せたままだったけど…









白く澄んだ前髪の隙間から見えた柊亜ちゃんの顔は




少し悲しむような‥懐かしむような‥そんな表情だった
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