夏の記憶
□#3
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…っ!?
目の奥が熱い
ア「…ぁ‥っ」
声にならない声が漏れる
震える体を自分自身の腕で抱きこみ
その場にへたりこんだ
…しばらくすると目の熱さもひいてきてその様子を見たアザミさんは
アザ「…ふんっなら私はこれで…」
といい踵を返した
『うん…ありがとう‥アザミ』
アザミさんはすうっとこの世界に溶け込むように消えていった
アザミさんが完全に見えなくなってから柊亜ちゃんはまた溜息をつき私の方に振り返った
『…さてあなたに蛇が宿ったことだし…
ねぇ…あなたはこの先どうしたい?』
さっきまで私を見ていた冷たい目とは少し違う強い目で私に問いかけた
私は立ち上がりこう言った
ア「…みんなの幸せを守りたい…それがもしただの自己満足だったとしても…
だから現実世界には戻れないよ」
すると柊亜ちゃんは満足そうに微笑んだ
『…そう
じゃあここにいてもいいわ…ここなら現実世界の様子も見れるし…』
そう言いながら柊亜はずっと座っていたテレビから下りた
私はその言葉を聞き目を見開いた
ア「え…いいの?私、ここにいても」
すると柊亜はくすりと笑い『私が言うんだからいいのっ』と言った
『じゃあ改めてよろしく…アヤノちゃん』
そう言い柊亜ちゃんはニコリと笑った
その笑顔は花のように愛らしくて…
でもどことなく儚くて…いつか消えてしまいそうだった…