Harly potter
□嫌まれるその時まで
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「ねぇ、ルナどうしちゃったんだよ。」
グリフィンドールの談話室、小声でロンがハーマイオニーに話しかけるがそれに対してハーマイオニーも首をかしげて見せるしかなかった。
それもそのはず、スネイプから額にキスをされた翌日なのだ、心ここにあらずといったように惚けてしまっている。
「惚れ薬でも盛られたのかな…」
ハリーの一言にハーマイオニーはとんでもないといった表情をしルナの肩を揺らした。
「ルナ!あなた惚れ薬を飲んだのね!言って!今誰が好きでたまらないの!?」
いきなりガクガクと上半身を揺さぶられ、驚いたようにルナが小さく叫ぶとハーマイオニーの手を払う。
「惚れ薬なんて飲んでないよ!ただ…好きっていう感情の確信って何で持てばいいのか考えていたの。」
恥ずかしそうに頬を染めるとルナは無意識に翼を広げ羽ばたかせた。
「…まさかスネイプじゃないわよね?」
ハーマイオニーの一言にハリーとロンは絶望的な表情を浮かべ顔を見合わせる。
「冗談はよせよ。」
「あぁ、笑えないね。」
しかし二人の野次も虚しく、ルナの顔を見れば何を言いたいのか分かる程に頬を紅潮させ、唇をやんわりと噛みしめていた。
「どういうことだか分かっているの?相手は教師よ?」
「分かってる…でも、先生のことを考えるだけで幸せなの。」
ハーマイオニーはそんな恋する乙女丸出しのルナを見つめると鼻から深いため息を吐き、ハリーとロンはあんぐりと口を開けて動かない。
「冷静に考えた上で?」
「今、考えているからさっきの質問をしたの。」
その答えに口を開けたままでいたハリーが、一度口を閉じ再び開くと頷いて見せた。
「あの鏡のところに連れていこう、今ルナが本当に望んでいることが分かる。」
ハリーがルナを連れて来た場所は「溝の鏡」がある部屋。
ハリーとロンは経験済みだがハーマイオニーとルナが見るのは初めてだ。
「ルナここに立つんだ。」
鏡の前で手招きをするハリーの隣にルナは黙って立ち、鏡を覗く。
「あ…」
鏡に映っているのはルナとスネイプだ、不思議なことに隣にいるはずのハリーは写っていない。
鏡の中のスネイプは愛しそうに優しい眼差しをルナに向けており、後ろからルナを抱き締めると耳たぶにキスを落とした。
「や…!」
ルナは急いで鏡から離れると耳まで赤く染め潤んだ瞳をハリーに向ける。
「何これ…」
「これは溝の鏡っていってその人の心の奥の望みや真実を見せてくれる鏡なんだ。何が写ってた?」
ハリーの質問に答えられるわけなどない、なんてふしだらなんだと思われるだろう。これが自分の望みなのかと突き付けられた事実に羞恥心が募った。
「スネイプは写ってたんでしょ?」
ハーマイオニーが答えやすいよう付け足し問いかければルナは頷いた。
「これが君の本心だよ。」
「…私。」
再び鏡に近づきその中の自分を見つめればまたスネイプがルナを後ろから抱き締め、今度は指を絡めてくる。
ルナは何かを決意したように鏡の中のスネイプの手を握り返せばハリー達のいる方へ振り返った。
「スネイプ先生に想いを伝える。」