Harly potter
□ポリジュース
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「私考えたの、落ち込んでるだけじゃスネイプ先生と前みたいに仲良くできないわ。だからなにかアクションを起こさないと。」
教科書を書き写しながらルナが小声で耳打ちすれば、どうする気なんだと三人はルナを見つめ続けた。
「これ…。」
ルナから差し出された手のひらには何かの毛が乗っかっている。
「ポリジュース薬…?」
察しの良いハーマイオニーの口から出た単語にハリーとロンが顔を見合せた。
「誰の!?」
「ヘムロックだよ。」
ロンの上ずった声にルナがそう答えるとヘムロックの髪をノートに包んでポケットにしまい、計画を今日実行すると言った。
「ポリジュース薬を飲んでヘムロックになったままスネイプ先生に色々聞き出すの。」
「例えば?」
ハリーの問いかけにルナは一度口を閉じると小さな声で、私を煩わしく思っているか。と答えた。
「この授業が終わった後の休み時間に作る。」
「トイレで作るといいわ、私も手伝う。」
嘆きのマートリーがすすり泣くトイレ、以前ハリー達が秘密の部屋を訪れた時の特別な場所だ。
そこで3年越しのポリジュース薬をルナとハーマイオニーが作っている。
グツグツと煮だった鍋に泥のような液体が入っておりいよいよ髪の毛を入れるところだ。
「ねぇ、ポリジュース薬って作るのに1ヵ月かかるのよ。これどうしたの?」
「前スネイプ先生に少しだけ貰ったの、新薬を作りたいからって頼んで。」
結局作れなかったけどと笑うと、ルナは先ほど包んだヘムロックの髪を取り出し鍋に放った。
すると泥の色をしていた液体がさらに真っ黒になり嫌な臭いが漂ってくる、ハーマイオニーはそれを見て、なりたい人物の性格によって色が変わるんだと笑っている。
「飲んでみるね。」
ルナは耐熱のカップに薬を移すとそれを一口すすり途端に顔を歪めた。
とてつもなく不味い、青臭くて喉ごしは最悪だ。
しかし、味の余韻に浸る間もなく身体中がボコボコと内側から涌き出るような感覚に襲われたかと思うと、しばらくしてむず痒さが去った。
ルナが急いで鏡を覗けばそこに立っているのはヘムロックだ。
「成功…!」
「ちょっと待って、ヘムロックが二人いたらまずいわ。それにスリザリンのローブは?」
その質問にヘムロックになったルナが笑顔で首を横に振ると、大丈夫と答えた。
「ヘムロックはさっき腰を抜かして医務室、ローブは友達に借りたの。」
そう言うと少し大きめの緑のローブを取り出すと羽織り、着替え始める。
どうやら男物のようで、スリザリンで密かにルナへ恋心を抱いている人間のものだろう。
入学して早々に絶大な人気があるルナのことだ、もしかしたら全寮のローブが簡単に手に入るかもしれない。
「行ってくるね、手伝ってくれてありがとう。」
ルナは金色の髪を整えるとその姿のままハーマイオニーに抱きついた。
そしてふたりでトイレを後にするとルナだけ魔法薬学の教室へと向かう。