Harly potter

□確信
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 ドアをノックする音。

来るだろうと思っていた相手が叩いているのだろう。スネイプは入ることを許可すれば案の定そこに立っていたのはルナだった。

「なにかね?テストの点数でも聞きに来たのかな?」

わざとそんなことを言うスネイプに、ルナが首を振りながら満面の笑みを浮かべ近づいてくる。

「先生がああしてくれてなかったら私…泣いちゃってました。」

頬を染め上目遣いでスネイプを見つめれば、スネイプもその目を見下ろすように見つめ返した。

「…ヘムロック達に何かしたのか、君ともあろう者が何故あのような仕打ちを受けているのか理解できんな。」

その言葉に更に顔を朱色に染めると、ルナはモゴモゴと口を動かし俯いてしまう。

言うべきではないのでは、でも伝えておくべきなのか。迷っているとスネイプがふいにその場を離れ棚からいつもの薬瓶を持ってくる。

ルナはそれを手渡されると覚悟を決めゆるゆると再びスネイプを見つめた。

「先生と私が…付き合ってるって…ヘムロックさんは先生のことが好きみたいです。」

スネイプは一瞬眉を上げ驚いたような表情になったが、またいつもの無表情に戻ると下らん。と一言吐き捨てた。

「そんなはしたないことを考えているから薬の調合も失敗するのだ。」

「え…ヘムロックさんが?」

実はあの時成功したと思っていたヘムロックの混乱薬は不成功で、煮込みすぎたあまり濃度が濃く個体になってしまったらしい。

「君の鍋を倒してさえいなければ成功していたものを、」

そうせせら笑うとルナも苦笑いを浮かべた。


暫しの無言。ルナはくすぐったいこの間に身を少しよじると手渡された小瓶を手の中で転がす。

スネイプは目の前で恥じらう異形の少女に目を細め、深く鳴り響く自分の心臓に息を浅くした。

「…もうその薬で君の羽は完治するだろう…そんな下らん噂も今日で最後になる。」

スネイプから裂いた無言にルナは悲しそうな表情を向け唇を噛んだ。

「次の授業に遅れる。早く行くんだ。」

そう冷たく言い放てば背を向け奥に消えてしまうスネイプ。

ルナは溢れる涙を必死に抑えながらスネイプの部屋を飛び出した。














奥にあるスネイプの寝室、スネイプは入ってきたドアを杖で閉めるとベッドに腰を沈める。

静かに溜め息を吐きながらその長くうねった髪を片手でかき分けると、頭に浮かぶルナの笑顔。

本当に愛してしまっていたらしい。あの美しくも人間とは言い難いルナを、いつから胸に抱きたいと願っていたのだろう。

吸い込まれるような魅力、麗しすぎる優しい彼女に自分は不釣り合いだ。

ましてや生徒と教師。許されない上これ以上ルナを苦しめるような真似は出来ない。

ルナも自分を教師として慕っているのだろう。そんな甘い関係を望んでいるはずもないのだ。

スネイプは強く自分にそう言い聞かせるとベッドから立ち上がり、次の魔法薬学の授業の準備をした。

あの悪魔の笑顔を思い出しながら。
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