Harly potter
□黒翼の少女
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「皆、驚くのも仕方のないことじゃ。彼女はルナ・セイント。悪魔族の生き残りであり、今日この日に我々ホグワーツ魔法学校の仲間になる。3年生として転入するからの、皆仲良くするように。」
ダンブルドアはにっこりと広間を見渡すとルナを目の前の椅子に座らせ、組分け帽子をマクゴナガルが被せた。
「でも、闇の一族ってことはスリザリンなんだろ?」
「そうとは限らないわ。闇と名がついても中身は純潔だって本に書いてあったもの。」
自分達と同級生だと聞いてハリーは友達になれるかもしれないと期待したが、闇の一文字がその期待を崩した。ハーマイオニーはああ言っているがスリザリン寮生達の表情を見れば、明らかに爛々と輝いておりまるで自分達の寮に入ることが決定しているようだ。
「ふん…珍しい。君は悪魔族の子だね。」
組分けが始まったようだ。
帽子から発された声に広間が静まり返る。
「君は頭が良い、器量も良い。強大な魔力も眠っておる。君はどこへ入っても成功するだろう。」
頭の上の声にルナは大きな瞳を僅かに揺らした。
「どうするかね、知恵を奮いたいか力を奮いたいかそれとも…」
「私は、これからできる仲間のために力も知恵も使いたいです。その願いが叶う場所、分かち合える寮に入りたい。」
しんと張りつめる空気、組分け帽子はルナのその願いを聞き入れるとそれならば。とおもむろに口を開いた。
「グリフィンドール!!」
わっと湧く割れんばかりの歓声。グリフィンドール生は立ち上がり、拍手喝采を送りながらルナを出迎える。
もみくちゃにされるのではないかと心配する程に、人に囲まれているルナを見るとハリー、ロン、ハーマイオニーの三人は落ち着いてから話しかけることにした。
「おい見ろよスリザリンの顔。」
その言葉にハリーが後ろを振り返ればグリフィンドールを睨み付け妬ましげな視線を送っている。ロンはおかしそうにケラケラ笑いながらカボチャジュースを口に含んだ。
「綺麗な子ね。」
ハーマイオニーがポツリと呟いた言葉にハリーもロンも頷く。
とても13歳には見えない落ち着いた雰囲気、しかしコロコロと笑う顔は幼さの残る可愛らしさがあった。
「ダンスパーティーとか大変だろうなぁ。」
ロンが目を細めてそう言えばハーマイオニーは眉間に僅かに皺を寄せ、誘うつもりなのかと質問する。
照れたロンがハーマイオニーとあーだこーだと言い争っているのを横目に、ハリーはルナを見る。
ふと目線の横に入った黒い影。
ハリーはふいとそちらに目線を移すとその先ではスネイプがルナを見つめていた。
ハリーはスネイプが生徒を見ていることに意外性を感じたが、悪魔族ということに興味があるのだろうと自己解決する。何故なら彼の専門だからだ。
ハリーは再びルナに目線を戻すとロンと同じようにカボチャジュースを口に運ぶ。
この出来事がスネイプとルナの出会いの伏線になることは、後にハリーでも気づかないことだ。