Harly potter

□ポリジュース
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 「ルナ、今朝はご飯食べないんだね…。」

ハリーがスクランブルエッグを食べながらそう溢せば、ハーマイオニーが首を横に振る。

「スネイプのことショックだったみたい。」

「でもあんなやつのどこに慕う理由があるんだろうな。」

ロンの一言にハーマイオニーは一度怒ったような顔を作ったが、その言い分ももっとも。

嫌がらせを日々受けている三人にとって、スネイプに美点など見当たらなかった。

そんなスネイプが普段座っている席を見ればその場所には人がいない。
どうやらスネイプも今日の朝食には参加していないようだ。

三人は朝食を食べ終えると何個かパンを包み、ルナに持っていこうと大広間を後にした。




女子寮に向かっている途中の廊下で偶然にもルナと鉢合わせになり、三人は挨拶を交わしたがルナの微笑みは弱々しく、眼の回りが赤く腫れてしまっている。

ハーマイオニーは朝食のパンを手渡すと次の授業に行こうとルナを誘った。

「おい…。」

ロンが苦い表情を浮かべながらルナの後ろを見れば目の前から歩いてくるヘムロック達、意地の悪そうな笑顔で手を振りながら向かってくる。

両端には手下のような女子がふたり、まるで女版マルフォイグループだ。

「昨日は鍋溢しちゃってごめんなさいね、みんなの前で作った混乱薬の出来はどうだった?」

ルナに詰め寄り肩まであるブロンドを手で弄りながらそんな嫌味を言われれば、ルナはその赤い瞳で睨みをきかせた。

「気にしないで、あなたの混乱薬よりはうまくできたからいいの。」

その発言にヘムロックが眉間の皺を寄せれば吹き出すハーマイオニー、ロンとハリーは女同士のキャットファイトに萎縮してしまっている。

「…あんた転校生で悪魔族だからっていい気になってるでしょ、ちやほやされてるからってスネイプ先生にも色目使ってさ。」

ヘムロックの両端でわざとらしく笑う二人、ヘムロックはそれに気分を良くしたようでまた続けて口を開いた。

「高貴な種族なんて言うけど、実際汚らわしいものね。」

その一言でルナから浮かべていた笑顔が一瞬で消え去り、廊下に浮かぶ蝋燭が順々に消えた。

朝だからといって暗めの廊下、その出来事にヘムロック達はたじろぐとルナの瞳の中の黒目が小さくなり、普段の優しい表情が冷たく鋭さを持ち背中の翼が大きな音を立てて広がった。

「私からしたらあなた達のほうがよっぽど汚らわしいわ。一人じゃなにも出来ないくせにいきがって下らないことをして、スネイプ先生に迷惑をかけないでよ。」

翼を羽ばたかせながらどんどん近づき距離を縮めてくる。
ルナの真っ赤な瞳に撃ち抜かれたヘムロック達はとてつもない恐怖を感じ、逃げ出そうとしたがどこに走っても目にも止まらないスピードで目の前にルナが阻んだ。

そして目を逸らさず懐から杖を取り出すとルナはヘムロックに突きつけた。

「お願い…許して…」

半泣きで命乞いをするヘムロックにルナは何も言わず冷たい視線を送り杖を振り上げる。

「ルナ駄目よ!止めて!」

ハーマイオニーが叫んだがルナの杖からは眩い光が瞬き、呪文が唱えられながらそれが降り下ろされた。

途端に光が消え、ポンと間抜けた音が鳴ったと思うと壁に追い込まれたヘムロックの顔からクラゲの脚が何本も生えている。

ウネウネと動き回る不気味な触手にヘムロックの取り巻きはヘムロックを一人取り残し逃げてしまった。

「おいおい、冗談じゃないぜ。」

「僕、この子のこと殺しちゃうのかと…」

ハリーとロンが冷や汗を拭いながらルナに近づけば、いつもの優しい表情に戻っておりすっきりしたような笑顔を浮かべている。

「…もう私達に関わらないで、スネイプ先生にも迷惑をかけないこと、破ったら次こそクラゲにするたけじゃ済まさないから。」

もう一度念を押すようにヘムロックを睨み付けたが、その当人は腰を抜かしてしまったようでその場にうずくまったままだ。

「ルナ、あなた最高よ。」

ハーマイオニーが満面の笑顔でルナの手を握ると、ルナはそのまま次の教室に向かいながらパンをかじった。
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