Harly potter
□苦薬
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生徒達へのご褒美、ホグズミードへの外出。
皆嬉々として雪の降り積もる外へと出掛けていく、しかしルナはというとそれをただ窓から見ているしか出来なかった。
親のいないルナはホグズミード外出許可証を書いてくれる人はいない、ホグワーツに来るまで森に身を隠し、穏やかなドラゴンやケンタウロス達に囲まれ生活をしていた彼女にとっては期待もしていないことだった。
(勉強でもしようかな…)
つまらなそうに頬杖をつき、最後の一人が外に出ていくのを見送ると自室に戻ろうと踵を返す。
コツコツと同じ学年の仲間がいない階段を上って行く、しかしふと気が向き勉強じゃなくて学校内を探検してみようと思い立った。
ただただ思うがままに広すぎる校内を進んでいく、気がつけば8階の突き当たりまで来てしまい、行き止まりになってしまった。
また戻るか。と壁に背を向ければ背中越しに感じる違和感。
振り替えってみると先程までなかった扉が現れたではないか、
ルナは戸惑いながらも手を伸ばし、その不思議なドアノブをひねってみた。
「スネイプ先生!」
自分を呼ぶ声に目線をそちらに合わせると走ってくるのはマダムポンフリー。
「我輩に、何か用ですかな?」
「えぇ、頼みがあるんです。ミスセイントのことについてなんですけれど、」
スネイプは訝しげな顔を作りマダムを見たが、マダムポンフリーは気にせずに話を続けた。
「あの子の翼が弱ってしまっているんです。原因は長らく羽を広げていなかったために固まってしまったためでしょう。」
「…それで?我輩にどうしろと。」
自分に何の関係があるのだと言いたげな表情でそう言い放てば、マダムポンフリーは一度ため息をつき再び口を開いた。
「私の薬ではあの子を完全には治せません。スネイプ先生が薬を調合してあげてくださいな。」
話が進むにつれ眉間の皺がどんどんと刻まれていくスネイプだが、マダムポンフリーはピシャリと言いつける。
「魔法薬学が専門でしょう。それでは頼みましたよ。」
スタスタと背を向け歩いていくマダムポンフリーをスネイプは恨めしそうに見送った。何故自分が、と頭のなかで悪態をつけば重たい足を自室へと進める。
注文通りの薬を調合するために。