Harly potter
□コウモリ
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ガコンガコン
何が入っているか分からない箪笥が揺れる。
今は新任教師、ルーピンによる闇の魔術に対する防衛術の時間だ。
ルナにとっては初めての授業で、ワクワクと胸を踊らせながら真剣にルーピンの話を聞いている。
どうやら杖を使う授業のようでルナは懐の杖を取りだし指先でいじりながら箪笥とルーピンを交互に見た。
「君の杖変わってるね。」
宴の時にすぐに仲良くなったハリーがルナの手元をまじまじと見つめ、その淡い木の色と持ち手に赤い装飾がほどこされた杖を褒める。
「綺麗だ。」
「ありがとう。バラの木と不死鳥の羽を使っているの。」
「バラの木?そんなの聞いたことないよ。」
ロンが驚き口を挟んだ。
「母が使っていたものだから、詳しくは分からないんだけれどね。」
「悪魔族の女性はバラの木の杖を代々使うという言い伝えがあると聞いたことがあるわ。」
どこからかハーマイオニーの声が聞こえ、ハリー、ロン、ルナの三人は顔を見合わせた。
「君いつ来たの!?」
ロンが上ずった声をあげルナもそれに同調する。
それも当然、ルナはこの授業に来る前移動教室をハーマイオニーに断られたのだ。
三人の動揺を横目に、ハーマイオニーは凛とした横顔を崩さずに教科書を取り出す。
「私語は慎むように。」
ルーピンの叱咤にその場が静まるといよいよ闇の魔術に対する防衛術の授業が始まった。