想い
□第3章 理由
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私から離れ、一息つき、
「じゃあ、帰ろっか。」
カルマ君は笑顔で言った。
つられてうなずきそうになったが…
─あれ、でもまだ午後の授業残ってる…よね?
もしかして…
「カルマ君…。サボる気?」
「え?うん。」
まるで当たり前のように言うカルマ君。
「だめだよ!まだ授業…」
「大丈夫〜♪荷物は俺がちゃんと持ってくるから。」
なんだか少し話が噛み合ってないような…
するとカルマ君は、私の返事を待たずに教室へ戻っていった。
しょうがない、彼にあわせよう。
私はおとなしくカルマ君を待つことにした。
少し経って、二人分の荷物を持って戻ってきた。
校庭に置きっぱなしだった弁当箱までしっかり手に持っている。
「おまたせ〜。帰ろっ!」
私の荷物を持ったまま、私の手を引いて歩き出す。
「ちょっ…荷物もつよ!」
「いいから〜♪」
なぜか上機嫌のカルマ君。
なんだかカルマ君のペースに流されているように感じる。
「よし、それじゃあ甘いものでも食べに行こっか。」
そういうカルマ君の笑顔にはさからえなくて。
小さくうなずくと、満足そうに微笑んだ。
歩幅をあわせて、二人で並んで坂を下る。
繋がれた手は、思ったよりあたたかかった。