想い
□第2章 傷を癒せるように
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彼 ─赤羽カルマは、私に笑いかけた。
「下の名前で、気安く呼んでよ。」
彼は、目の前に立っている私に、優しく言った。
「あ…うん。よろしくね、カルマ君。」
私は、カルマ君に挨拶をして、席に座る。
カルマ君が隣なら、安心できるなと、なぜか思った。
─昼休み─
「ゆかりちゃん!お昼、一緒に食べよ?」
緑色のツインテールの女の子が声をかけてくれた。
確か、「停学明け」って言ったらすっごく驚いていた女の子だよなぁ…
「いいよ。えっと…」
「あ、私はカエデ!茅野カエデ!よろしく‼」
ツインテールが、ウサギの耳のようにパタパタ動いていて、可愛いなと思った。
「よろしく、カエデちゃん。」
「あれ、園田ちゃん、茅野ちゃんと仲良くなったの?」
2人で話していたら、後ろから抱きつくようにカルマ君が訊いてきた。
「うん。一緒にお昼食べるの!」
カエデちゃんが(なぜか)ドヤ顔で宣言した。可愛らしくて、思わず笑ってしまった。
抱きついているカルマ君の腕に力が入る。
後ろにいるから、表情はわからない。
「カルマ君…?」
「…俺も、園田ちゃんとお昼食べる。」
「「…え?」」
私はもちろん、カエデちゃんも驚いている。
「ねぇ、渚君。いいよね?」
カルマ君が声をかけると、水色の髪の子が振り向いた。
「僕はいいよ。園田さんは?」
─男の子だったんだ‼
髪はサラサラで長いし、可愛い顔だし、てっきり女の子だと思っちゃった‼
「…園田さん?」
“渚君”と呼ばれた子が、心配そうに私の顔を見た。
ヤバい!またジロジロ見ちゃった‼
「ごめんなさい!大丈夫!私もいいよ。大勢の方が楽しいし。ね?カエデちゃん?」
そういえば、カエデちゃんの許可もらってないと思って、確認する。
カエデちゃんは、少し不服そうな顔をしたが、うなずいてくれた。