想い

□第2章 傷を癒せるように
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「園田ちゃん、当たったところどこ?」

冷やしたタオルを持ちながら、カルマ君が当たったところを撫でるように探した。

「い…いいよ‼そこまでしなくて‼」

「ダメ。頭は1番危険なんだから。」

優しく叱ったとき、カルマ君の手が腫れた部分に触れた。

「〜〜〜〜っ‼」


声にならない悲鳴をあげると、優しくタオルを当ててくれた。









「…ありがとう、カルマ君。」


「ん。」







それからしばらく、私はおとなしくタオルを当ててもらった。

















「…あの時さ、何で言わなかったの?」

不意に、カルマ君に訊かれた。

「…“あの時”?」

カルマ君を見上げる。

「茅野ちゃんが、停学の理由を訊いてきた時。」

カルマ君は、視線を下げて私を見つめる。
腫れが引いたのか、タオルはおろしていた。











確かに、つい先ほどカエデちゃんに訊かれた。
渚君も、真面目な表情で聞いていた。


2人に隠していたいわけではない。
むしろ、全てを打ち明かして、もっと仲良くなりたい。















でも…











それでも…











「…停学になったことを、カルマ君のせいだと思われたくなかったから。」













それでも私は、












カルマ君だけのせいにはしたくない。










「…園田ちゃんのことは、全部俺のせいだよ。」




「違うっ‼」












独りで抱え込まないで。










少しでいい。私に頼ってよ。



















急に、カルマ君に抱きしめられた。





強く。…強く。







「…カルマ君?」












「しばらく…このままにさせて…」










私は、カルマ君を抱きしめ返した。









彼をつつみこむように。



















少しでも、彼の傷を癒せるように。
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