Story

□はじめまして
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夢主兄出ます!ご注意ください!

握手会終わり楽屋にて
※先生目線


〈あー!俺覚えてるその人!〉

〈僕もめっちゃ覚えてます!!〉

〈あのかっこよかった人だよねっ〉

〈やっぱりみんな覚えてるんですね〉

リリースイベント1部の握手会が
無事に終わって楽屋に戻ってきた

今終わったとこなのに疲れてるどころか
メイトに元気をもらってみんなテンション高い

やっぱ握手会っていいなぁ〜なんて
思ってたら類以外のメンバーが
みんな集まって何やら盛り上がってる

泉まで積極的に輪にいるなんて珍しいな

〈なになにーなんの話してんの?〉

先生も気になって声を掛けてみたら
パクが興奮気味に話し出す

〈あ!先生!いや今日は男のメイトさん多くて
 嬉しいですね〜って話してたんですけどね?
 なんかその中でも特別めずらしい感じの人
 いたじゃないですか〜!覚えてます!?〉

特別めずらしい感じの人…?

〈背の高い、スーツの男性です
 今まで握手会にああいう人が参加して
 くれることなかったので印象的で……
 今話してたら、みんな同じ事思ってた
 みたいなんですけど先生も覚えてますか?〉

俺が首をかしげたのを見て
泉がすかさず補足説明してくれた

……あぁ確かに!

〈いたいた!覚えてるよ先生も
 スラッとしたイケメンな人だろ?
 スーツだし目立ってたなぁ〉

〈そうそう!そうっす!その人!〉

〈やっぱりみんな印象に残ってるんだね!〉

みんなでうんうんと頷き合ってから
視線は自然と、この話題にたった1人
共感してくれない類の方へ……

共感してくれないというか
ただ全く耳に入ってないんだろうけど

〈おーい類〜〉

楽屋のソファに何故か正座して本を読んでる
類の後ろ姿に声をかけるけど反応なし

〈相変わらずの集中力ですね…〉

泉の言葉に各々頷く
ほんっとたいした集中力だな〜

〈類、そんな熱心に何読んでんの?〉

ソファの正面に回り込み声をかけると
やっと気配に気付いたようで顔をあげる

《ん?あ、うどんのお話です》

〈うどん……??〉

タツキがソファの後ろのテーブルから
はてないっぱいの顔で聞き返す

《はい!さぬきうどんの歴史の本!》

その声に振り向いて楽しそうに返す類

〈…まぁた変わった本読んでんな〜……〉

アキラがぼそっとつぶやく
類はなんていうかほんと…
好みとか掴みどころないなぁ

〈ねぇ類、本読むの後にして
 ちょっとこっちきて話そうよ〉

〈?わかりましたっ〉

にこにこ良い笑顔で、また本に
視線を戻しかけた類にすかさず
声をかけると、一瞬不思議そうな
顔をしたもののすぐに開いていたページに
しおりを挟み立ち上がってくれた

楽屋の中心にある6つの椅子で囲んだテーブルに
つきながら類がメンバーみんなを見回す

《何かおもしろい話でもしてたんですか?》

類と俺が座ったのをみてパクが
そうなんだよー!と嬉しそうに話し出す

〈さっきの握手会!何人か男の人いたでしょ?〉

《うんうん、今日男の人いつもよりいっぱい
 きてくれてたね〜!うれしいね!》

〈そのなかでスーツ着た背の高い男の人、
 るーくんは覚えてる?〉

《スーツ…?…あ、ハルくんのことですかね》

タツキの問いかけにごくごく当たり前のことを
言うような様子で類がこたえる

…ハルくん……って誰だ?

〈はるくん…?〉

アキラが間抜けた声で聞き返す

先生も含めてメンバーみんな首をかしげて
類の次の言葉をじっと待つ

《え?ハルくん。あれ、話したこと
 ありませんでしたっけ?兄です僕の》

〈えっっ!類お兄ちゃんきてたの!?〉

〈なんで早く言わねーんだよ!
 え、楽屋、楽屋は?呼ばなくていいの?〉

〈なんか…言われてみればるーくんに雰囲気似てたような……〉

〈お兄さんがいるって、ちらっとは聞いたこと
 ありましたけど…こっちに住んでるんですか?〉

《ううん、東京です!だから僕もまさか
 大阪のリリイベに来るとは思わなかったです
 いやーびっくりでした》

はははっとどこか遠い目をする類

初耳すぎて先生思わず固まっちゃったよ

〈アキラの言う通りだよ、楽屋来てもらわないの?
 先生もぜひあいさつしたいんだけど……〉

《い、いいですいいです!
 せっかくの休憩なんだしみんな休んでください!
 それに僕もほんとに来ること知らなかったし
 前もって連絡してこなかったってことは多分
 たまたま仕事で来てて様子見にきたんだと思うし!》

〈ねぇ類……なんで焦ってるの?〉

《へっ!?焦ってないけどっ》

〈…お兄ちゃんと喧嘩でもしちゃったの?〉

《違う違う!喧嘩とかじゃないです…》

〈じゃどした?〉

《どうしたっていうか……だってハルくん…
 …過保護だし…ちょっと変だし…
 きっとみんなに会うとすごいうるさ

Prrrrrr…Prrrrrr

類の声を遮るように着信音が鳴る
あきらかに音の出どころは類のポケットの中の
スマホだけど、当の本人は固まったまま動かない

Prrrrrr…Prrrrrr

〈電話、でねーの?〉

アキラが呆れたようにちょっと笑いながら聞く

《でな〈でなさい。〉

それに即答しようとした類に
泉の静かな声が重なった

《…………はい…》

しゅんとする類はやっぱり可愛いけど…

この様子このタイミングからしてきっと
お兄さんからの連絡なんだろう、
出てあげないなんてあまりにかわいそうだ

しぶしぶ諦めた感じでポケットから出した
スマホを耳にあてる類

《……もしもし》

俺達にも滅多に見せない程の
テンションの低さで電話の相手と
話し出した類を5人でじーっと見守る

《……やだって言ったらどうするの?
 …あ〜うそうそ、分かったよ、分かったから!
 はぁ………それじゃあ裏にまわってきてね
 僕そこまで迎えに行くから、はーい、じゃ》

電話を切って、疲れた顔でため息をつく類

〈…お兄ちゃんからだったの?〉

《そうです…》

タツキの問い掛けに、これまた疲れたように頷いて
ゆっくり立ち上がってドアに向かう

《みんな休憩中なのにごめんなさい…
 ハルくんがちょっとでいいから挨拶したいって…
 僕迎えにいってきます…》

がちゃん。と重そうにドアがしまった

〈類…ほんとに気が乗らない感じでしたね〉

〈電話の感じからして仲悪いとかじゃ
 ないんだろうけど……
 恥ずかしがってんのかね〜?〉

〈うーん…でもあんなにかっこいいお兄ちゃんなのにね〉

〈しかも爽やかで優しそうだったし…!!〉

〈まぁでもさ、類あんまり家族のこととか
 自分から話さないし…今回こうやってお兄さんに
 会わせてくれるのってやっぱりなんかうれしいね〉

みんなにっこり笑って頷いてくれる

類の大切なご家族と会って話せる
それがなんだかすごく嬉しく感じる


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