Story

□ハンバーグ
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【夢主、寮生活していません。
 学園背景を重視される方は
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ある休日にて
※先生目線


あ〜今日もおりてこない……

1つの曲にここまで苦戦するのも
随分久しぶりな気がする

もちろん毎回それなりの時間はかかるし
一晩中振り付けのことばっかり考えて
寝不足になったりすることもある

でもそれを苦痛に思うことはないし
基本的に無理なときは無理って諦めて
ぱっと何かが降りてくるのを
落ち着いて待つことがほとんど

なのに今回は先生、なんだか
とことん調子が悪いらしい

考えれば考えるほど何も浮かばないし
ちょっと落ち着こうと思って
休憩すると途端に焦りがやってくる

こんなこと今までなかったんだけどなぁ…

そんなこんなでここ4日くらいは
アルスで練習してても
あんまり集中できてないような…
あぁ情けないなぁ。

今日も朝方から散歩したりお風呂入ったり
いつもならちゃんとリフレッシュに
なるようなことやってるんだけど

やっぱ駄目か、はぁ〜

でもそんな呑気にもしてられない
とにかくやらなきゃ、考えなきゃ



Prrrrrrrr……Prrrrrrr

着信:チーズinハンバーグ


……は?
………………

……あっ、思い出した

数秒間なんだこれって固まったけど
そういえばこの前類が、
僕から着信くる度に
あ〜ハンバーグ食べたいな〜
ってなるように設定していいですか!?

とか急によくわかんないことを
目キラキラさせながら言ってきて
それがすごい可愛かったから
いいよって言って携帯渡したんだった

なるほど、これがやりたかったのか
確かにちょっとハンバーグ食べたくなったな

お昼ハンバーグにしようかな


Prrrrrrrrr……Prrrrrrr

あっ、そうだ電話だった

〈もしもしー?〉

《先生!お疲れ様です〜類です〜》

〈うん、おつかれ。どうした?〉

《お昼はハンバーグですか?》

〈ふふ、おかげさまでね
 そうしようかなって思ってるよ〉

《ご一緒しちゃだめですか?》

〈え?だめじゃないけど急にどうしたの?〉

《おすすめのとこがあるんです》

〈へぇ〜それは楽しみだな〉

《期待してていいですよっ
 じゃあ12:30に先生のお家まで
 お迎えにいきますね〜》

〈いいよいいよ最寄り教えてくれたら
 俺駅まで出るよ?〉

《ううん、お迎えいかせてくださいっ》

〈ん〜…そう?ありがとう。じゃあ家で待ってるよ〉

《はーい、またあとで!》

〈うん、気を付けておいでね〉


これは前からだけど、相変わらず
類と話すと妙に心が落ち着く

あの子は自炊得意だからあんまり
外食してるイメージなかったけど……
おすすめのとこか〜楽しみだな

類のいつも通りの声も聞けたし
こんな風に誘ってくれることも珍しいし
さっきよりはずいぶん気が楽になってきた

約束の12:30まで、もう一度
しっかり集中して振り考えてみよう



ピンポーン


大きめの音量で聴いてた曲の後ろで
何か聞こえた気がしてイヤホンをはずす

ピンポーン

お、類来たかな?時計をみると12:27
もうこんな時間だったんだ……

ガチャ

《お疲れ様です!》

ドアを開けるとニコニコした類が立ってた

〈ごめんね何回かインターホン押した?
 イヤホンしてて気付けなかった〜〉

《……いや!全然大丈夫ですよ》

俺がイヤホンしててって言った瞬間
ほんの少しだけ類の顔が曇った

ような気がした



〈で、どこ連れてってくれるの?〉

《ひーみつー♪でもそんな遠くないです》

〈嬉しそうだなぁ〜じゃあ黙って着いてくよ〉

どこ行くかは着くまで秘密らしい
うきうきしてる類を見てると
さっきまで焦って1人で切羽詰まってた
自分が嘘みたいに明るい気分になる




《着きましたっ》

〈あれ、ここって…〉

1年くらい前に車で類を
送ったときに来ただけだけど……

確かここは類の住んでるマンション

《6階です!行きましょ行きましょ》

類に手を引っ張られてエレベーターにのる

〈え、おすすめのとこって類の家?
 お店じゃなかったの?〉

《騙すみたいにしてごめんなさい
 ちょっと驚かせたくてっ
 あ!ちゃんと作ってますよハンバーグ!
 あとは焼くだけです!》

〈下準備すませてから
 わざわざ迎えまで来てくれたの?〉

《今度のお休みは先生をおもてなしする日に
 しようって決めてたんです!
 部屋もちゃんと片付けたから大丈夫だと
 思うんですけど…でもなんか緊張しますねっ》

部屋の鍵をあけながら笑う類

人一倍周りをよくみてる子だ
もしかしたら今回の振りや構成の
進みがあまり良くないことを
最近の俺の様子から感じ取ったんだろうか

気使わせちゃったかな……


〈ほんとに綺麗にしてるね〉

もうちょっと生活感があっても
いいくらいに綺麗に片付いてる

《先生に来てもらうんですもん!
 そりゃあちこちピカピカにしとかないと〜》

〈はは、なんだそれww
 別にお姑みたいにホコリチェック
 とかしないよ?俺〉

《ふふふそれ想像したらおもしろいですねww
 でもなんか、昔からの友達以外で
 部屋に来てもらうの先生がはじめてだから
 すごい気合い入っちゃって…》

〈うーん…先生以外の男の前ではあんまり
 そうゆうこと言わない方がいいかな〜〉

《?》

〈理由は分からなくてもいいよ
 お腹すいたな〜類
 先生も何か手伝えることある?〉

首を傾げて真剣に考えてるけど、
きっと類には分かんない

昔からの友達以外で部屋によぶのはじめて
だとか、しかも張り切って掃除したとか

そんなの嬉しいに決まってるし
バカな男は勘違いする

《あっ、いいですいいです
 先生は座ってゆーっくりしててください!
 すぐできますよ〜っ》

ご丁寧にソファに誘導されちゃったから
まぁここはお言葉に甘えようかな

料理してる類の後ろ姿を見ながら
ぼーっとしてると、ほんとにすぐ完成した

〈おいっしそうだねぇ〜〉

《食べて食べて先生!
 あ、でも大丈夫かな…でも味見したから…》

嬉しそうに見つめてきたり
急に不安そうにうつむいたり
今日の類はほんと表情豊か

そんな真剣にみられちゃうと
ちょっと食べづらいんだけどww

でもほんとに美味しそう

〈いただきます〉



類の作ってくれた、ハンバーグも
スープもポテトサラダもデザートの焼きプリンも
ほんっとに全部美味しかった

俺がひとくち食べる度に嬉しそうにする類を
みてすごく幸せな気持ちになった

〈ごちそうさま。
 類、今日はほんとにありがとね〉

《こちらこそ来てくれてありがとうございます》

〈いつももっとわがまま言っていいよとかって
 言うくせに、また気使わせちゃったね〉

慌てて首をふる類

〈なんか今回は先生調子悪くてさ
 気づいてたんでしょ?
 類がこうやって誘ってくれて
 ほんと気が楽になったよ〉

《僕こそ先生とお休みの日まで一緒に
 いられて、すっごく楽しかったです!
 また明日からも頑張れちゃいます》

この子はどこまでも優しい
心強い末っ子にまた助けられちゃったな


それから外が薄暗くなるまで
ずーっとダンスの話をした

類はほんとにダンスが好きなんだな
って改めて実感した。もちろん自分も。

でも…

〈長い時間ごめんね
 そろそろ先生お暇するよ〉

《もう帰っちゃうんですか…?
 あ、泊まっていってくださいよ》

〈……あのなぁ類……
 ちょっとそこ座りなさい〉

《?》

類のこの一言でながーいお説教を
せざるを得なくなったのは言うまでもない


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