Story

□小悪魔
1ページ/1ページ

ツアー前強化合宿にて
※先生目線


強化合宿2日目の夜

昨日の夜はみんなでDVD観たりして
結構わちゃわちゃしたんだけど、
今日はちゃんとみっちり4時間ほど
真面目なミーティングをした

アキラやパクは最後らへんはもう
飽きちゃって、泉に怒られてたなぁ
先生はその怒られてる2人を見て
笑いを堪えるのに必死だったけど

で、各自部屋に別れて寝よう
ってなってからもう1時間は経った

部屋に別れてって言っても
部屋が違うの実は先生だけ

ほんとは類にも1人部屋がある

でも1人で寝るの寂しいって可愛いこと言うから
はじめは先生の部屋くることになってたんだけど
パクが結局最後まで類を離さなくて
あいつら5人、同じ部屋で寝るらしい

先生だけ1人部屋つまんないなぁ〜

みんなちゃんと寝たかな
なんか暇だし様子見に行こうかな


スー…


《……うあっ》
〈……うおっ〉

《ど、どうしたんですか先生っ》

〈びっくりした〜、いやみんなが
 ちゃんと寝てるかなって見に来たんだけど
 類こそどうした?ずっと起きてたの?〉

そーっと襖を開けて中に入ったら
正面に類がいてびっくりした

《僕は今起きちゃって、えっと、
 ちょっと外の空気吸おうかなって》

〈そう〉

まーたそうやって…嘘つくの苦手なくせに

きっと眠れなくて今まで1人で起きてたんだろう

〈目が覚めちゃったなら
 ちょっと話そっか、先生の部屋おいで〉

《いいんですかっ?》

嬉しそうだなぁ
なんか先生まで嬉しくなる


隣同士に寝転んでいろーんな話をした

普段類は自分から自分のことを
たくさんしゃべってくれる子じゃないから
ちょっと眠そうになってきたとこを狙って

そうなんだ!それでそれで?

って、類がいっぱい
話してくれるように誘導してみたりして…

この前泉と大事な話してたらパクが後ろで
変顔して笑わせようとしてきた、とか

タツキにもらったお菓子がすごく
美味しかったって言ったら
それから毎日のように箱で持ってきて
嬉しいけどこれじゃいつか踊れない
ような体型になっちゃいそう、とか

最近アキラと泉がますます
お父さんとお母さんみたい、とか

そんななんでもない話でも
類が楽しそうに話すから
聞いててそれが嬉しかった

でもそろそろ本格的に類の声が
なんかふにゃふにゃ〜ってしてきた

類と2人でこんなにゆっくり
話せる時間も少ないし
今なら半分寝ぼけながらでもいつもより
たくさん話してくれるし

これは最後に大事なこと伝えておかないとな

〈類、もう眠たい?〉

《んーん、全然眠くない、です…》

〈ふふ、そう?
 じゃあ最後に先生の言いたいこと
 言ってもいい?〉

《…………ん》

寝ちゃったかな?

〈先生よく類に言ってるつもりだけど
 類はさ、もっともっと俺達に
 甘えてわがまま言っていいんだよ〉

やっぱり寝ちゃったかな
反応のない類の顔を覗き込もうとしたら

《……ぼく、十分…甘えてます》

お、まだ起きてた
目ほとんど開いてないけどww

〈じゃあ、たとえば?〉

《えっ……たとえば?んー……
 こうやって先生に…たくさん僕の話
 聞いてもらった、り、とか?〉

〈それはわがままに入んないよ
 先生が聞きたかったんだもん〉

《……じゃ、じゃあ……イベント終わったあと
 何も言わなくてもアキラ先輩が
 いちごミルク買ってくれる…こと?》

〈それも違うな〜〉

なんだそれw
おもしろいなぁ類

《……ん〜……》

しばらく唸ってたかと思ったら急に
静かになったから、いよいよ寝ちゃったなこれ

先生の言いたいこと、
ちゃんと類に伝わったのかな

《………ら…る、ことだっ…》

〈え、まだ起きてたの?〉

《アルスでいられる、ことっ》

〈ん?〉

《アルスでいられて、みんながいるのが
 なによりいちばん…幸せだから……
 これ以上、 わがままなんて言ったら
 ぼく…バチ当たっちゃうなぁ……》

目を閉じて本当に幸せそうな顔しながら
言う類を見てたら返す言葉が
みつからなくて、思わず固まってた

〈……はぁ……またそんなこと言って…
 本心で言ってるのが分かるから
 余計に何も言えなくなっちゃうな…〉

ゆっくり頭を撫でたら
静かに寝息が聞こえてきた

〈……まさに言い逃げ〉

さっきのセリフあいつらに聞かせたら
また大騒ぎするんだろうな〜

そもそも明日俺が、昨日こんな可愛いこと
言ってたよって話しても類は
きっと、きょとんとするんだろうけど

うちの末っ子はとんだ小悪魔だなぁ〜


[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ