Story

□兄達からの
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ある動画撮影にて
※アキラ目線


〈類、ちょっと背伸びました?〉

《…え?ほ、ほんとですか!!》

〈んー?いや変わってねぇだろ〉

《……》

じろり、まさにそんな感じで睨まれた

〈類何その顔!可愛くねー!!〉

《別に可愛いと思ってやってないですもん》

〈うっわ!ますます可愛くないっ〉

ほんっとこういうとこは子供だなこいつ〜

〈うんうん!言われてみれば伸びてるよるーくん!!〉

おいおいタツキックまで…

〈ほぉんとだ!類高いよ!高い!
 これ5センチは伸びたなぁ〜!ね!先生!〉

5センチ!?

〈いやいや5センチってどう考えてもおか…
〈うん先生もずっと思ってたんだよね
 類すっごい背伸びたな〜って〉

《5センチ……!!うれしい!!》

みんなの言葉にキラキラ目を輝かせる類を見てるとなんか…
俺が悪いことしてるみたいじゃん

視線を感じてふと隣を見ると
泉が何とも言えない表情で俺を見てた

んな顔で見なくたって俺だって気付いてるっつーの

朝からなんとなーく類が元気ない

まあ理由は多分この前、ずっと大事にしてた
ダンスシューズを捨てたことだろうな

長いこと履いてたから裏がすり減って
場所によっては滑ったりしてて危ねーから
新しいのにしろって前々から俺も泉も
よく言ってたんだけど…

もうちょっとだけ!まだ履ける!って
類がどうしてもって言うから俺らも引き下がってた

でも3日前くらいにその靴のひもが切れちゃって
いいきっかけだから捨てろって言ったら
類もしぶしぶ納得して処分したんだけど

ここ数日の様子を見るにまだ落ち込んでんなぁ……

その類がやけに大事にしてた
ダンスシューズってのは、もう何年も前に
俺と泉からあいつにプレゼントしたやつだ

今はとりあえず昔使ってたシューズが
部屋にあったらしくてそれ履いて踊ってるけど
休憩中ときどきぼーっと足下眺めたりしてて…

まぁみんなが嘘でも類の喜ぶこと言って
いつもみたいに笑ってほしかった
ってのも分かんなくはない

…しかも今気付いた
泉が今日このタイミングで、身長ネタをもってきた理由

今日はいつもにらめっこしてるでっけー鏡がない!
スタジオじゃないから!外だから!

あいつ〜やっぱ頭いいんだなぁ
動画撮影で外に来てる今を狙って
類に身長の話ふったのか……

類も馬鹿じゃないし
急に背が5センチ伸びてるなんて
さすがに信じてるわけじゃないにしても
嬉しそうなのは事実だし

鏡が無いのをいいことに、類が
もうすぐパクの身長こしそう〜!とか何とか
言いながら背比べしてはしゃいでる

久しぶりに類のあの顔見れたな〜
やっぱあいつは笑っててくんねーと調子狂うわ

〈アキラ、ちょっと〉

泉がちっちゃめの声で手招きするから
わいわいあばれだした類達から
ちょっと離れて向かい合う

〈どした?〉

〈今日このあと空いてますか?〉

〈おぉ!!行くか!!〉

〈ちょ、大きい声出さないでください…!〉

〈あ!わりぃ
 よっしゃーめちゃくちゃかっこいいの
 選んでやろうぜっ〉

〈…まぁ見た目は置いといて次はもっと
 長持ちするやつにしましょう
 なんなら2足買っておいてもいいですね
 あんな風に落ち込んでる類、
 できたらもう見たくないですし〉

〈俺も同じこと考えてた
 それに裏がすり減ってつるつる滑るように
 なるまで履かれたら危ねぇしな〉

てな訳でまた2人で類の靴買いにいく
ことにしたんだけど……

ここだけの話…

その後の休憩中、泉のやつずぅぅーーっと
どんなダンスシューズがいいか携帯で調べてた

ほんっとあいつって
タツキックと類にだけ特別甘くね!?

まあ別にいんだけどさ〜
その優しさほんのちょーっと俺にも
向けてくれりゃいいのにな〜


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