Story

□雨の中
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ある休日にて
※アキラ目線


〈……くっそーぅ……〉

帰るまでなんとかもつと思ったのにー
くっそー!

今日は1日降ったり止んだりだから
傘をお忘れなくって確かテレビで言ってたけど

でも俺が出るときは止んでたし、
まぁいけんだろって思って傘は持ってきてない

ザーザー降りの空をみて思わずため息

とりあえずさすがにこれは雨宿りだな…
でもってもうちょい弱くなってきたらダッシュだ
これでいこう!

夕方つってもまだ早いのに人が全然いない
さすがに子供もこんな日は公園来ねーか

にしても、たまたま帰り道の公園に
屋根付きのベンチがあるって…
俺やっぱもってんな、何かもってるわ

ま、音楽でも聴いて雨ましになるの待つか



……ふと視界の端に人影がって思ったら

あの人こんな雨の中傘なしかよ
いや、俺も無いんだけどさ!

よっぽど家近いのか?
でもすでにびっしょびしょだし…
てかそれならちょっとくらい走れよ!

……ほんと大丈夫かよ…
さすがにあれはちょっとほっとけねぇつーか…

〜〜〜あぁもう!いくか!

屋根から出て走ってその人に近づく

〈ちょっと!あの!こっち屋根あるから
 雨宿りした方がいんじゃないすか!〉

《……え?僕ですか?》

〈そう……って、え!?類!? 〉

《うそ…!アキラ先輩……》

〈ちょちょちょ!待てよ!何で逃げんだよ!!〉

《いや、ちょ…だ、だって…怒るでしょ!?》

類が俺だって分かった瞬間逃げようと
するから慌てて手首掴んで止めたけど……
いやいや、これ冷たすぎんだろ

〈とにかくこっち!屋根あるから!〉

さっきまで1人で座ってたベンチに肩を並べて座る

いやぁまさかこんなとこで類と会うとは…
俺やっぱもってんな、何かもって……

いやそんなことより!
隣で、顔からも髪からも服からも
ポッタポタポッタポタ
水垂らしまくってる類をじっと見る

〈あのなぁ類、雨、降ってんの分かってるよな〉
《……》

〈しかもこれ、小雨に見える?〉
《……》

黙って下を向いてる類

〈傘は?〉
《……家出るとき止んでたから持ってきてない…です》

うん。俺もだ。

〈風邪引いたらどうすんだよ〉
《…ごめんなさいアキラ先輩まで濡れちゃって》

〈そんなの別にいんだけど
 類お前この雨の中傘なしで帰るつもりだったの?〉

《……うーん、ちょっとぼーっとしてて
 いつの間にかこんな雨ひどくなってて
 コンビニで傘、買おうとは思ったんだけど…》

〈何で買わなかったんだよ〉

《財布…鞄に入ってなくて……
 置いてきちゃったみたい》

いや、置いてきちゃったみたい☆じゃなくて……

〈ほんと相変わらず変なとこ抜けてんな類は…
 何で連絡してこねーの〉

《……え、誰に?何を?》

〈俺にだよ!いやてか誰でもいいけどさ
 連絡したら誰かしら来るだろ迎えに〉

《え!?いやいや何いってんのアキラっちょ〜
 さすがにそこまでわがままじゃないよ僕
 自分が傘忘れただけなのに、傘持って
 迎えに来てなんて言わないって》

〈お前が言わなくても行くっつーの〉

《へ…?》

〈こんなびしょ濡れになって体も冷えきって…
 そんな風にさせるくらいなら俺がどこでも
 迎えにいってやるから。連絡してこいバカ〉

《…………アキラっちょ、優しすぎ》

〈お?お?照れてんの?〉

《違う照れてないよ!
 くっつかないでください!
 アキラ先輩もっと濡れちゃうよ》

〈いいよもうこんだけ濡れたら一緒だろ
 なんなら駅までダッシュで競争するか?〉

《おぉ!やるやる!》

〈冗談だよバカ!まじで風邪引くだろ!〉

《え〜〜…てかバカバカ言わないでください!》

こうやって休みの日に類と偶然会えて
一緒に何でもない話しながら雨宿りして

雨もたまには悪くねぇな〜
なんて、月並みなこと思ってみたり

《ねぇアキラっちょ!小雨になってきた!
 ちょっと寒いしなんかあったかいもの
 食べて帰りましょうよ》

〈おう!そうするか!
 いやでもこんなびしょ濡れ2人組
 店追い返されるかもしんねーぞ〉

《んふふ、ほんとですね》


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