Story

□泣いてない
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公演終了後
※アキラ目線

《う…っ……うぅ〜……》

〈おい類〜〜まぁた泣くのかお前〜〜〉

《…う〜……だ、って…》

〈うん?〉

《あんなにいっぱい…みんな…きてくれて…っ》

〈な〜びっくりしたな〉

《みんな、わらって、たのしそうで……》

〈うん、いっぱい笑顔見れたもんなぁ〉

《ありがとうって…っ……言ってくれたぁ〜》

〈うちらの方がありがとうだよな〉

《ぼく、めいと、ちゃん…だいっ…すきぃ…》

〈……類みたいなやつがいるから
 みんなありがとうって言ってくれんだよ?〉

どういう意味?って顔で首かしげた類に
パクがタオルを持って突進してきた

〈アキラ先輩がまた類泣かせてるぅ!!〉

〈ちげぇっつの!〉

《いだっ!んん〜これうぃとのタオルじゃん
 汗つーいーてーるーきたなーいー》

〈僕の汗はレモン果汁なんですぅー
 超爽やかなんですぅー〉

《なにそれ、意味分かんないし
 てか僕泣いてないしっ》

俺の突っ込みを無視して
パクが意味不明なこと言いながら
涙でぐちゃぐちゃになった類の顔を
自分のタオルでゴシゴシ拭いてる

類もやだやだ言ってるわりには
楽しそうだし、ここらへんはやっぱ
さすが末っ子コンビ!って感じだな

〈類また泣いてるんですか?〉

《え?僕ですか?泣いてないですよ!》

〈いや泣いてたじゃん!〉

《うるさいうぃと!
 奏先輩!泣いてないですから!》

〈……そうですか〉

〈ほんっと類ったら泣き虫だな〜
 全公演泣いてるんじゃない?〉

《僕ほんとに別に泣いてないから!
 ねぇアキラ先輩、僕泣いてないよね?》

そんな顔で見つめられちゃうとなんつーか……

〈おう、泣いてなかった泣いてなかった!
 ライブ楽しかったなって話してたんだよ〉

って答えるしかねーだろ…

〈何ですかアキラ先輩まで〜〉

〈まぁパク、そんな必死にならなくても
 類が泣いてないって言うなら
 それでいいんじゃないですか?〉

《そーだそーだぁー!
 あ!そんなことよりさ〜うぃと
 楽屋の差し入れ見た?
 すっごい美味しそうなのあったよ!》

〈え!そうなの!?
 うあぁ〜お腹すいてきたぁ〜!
 類!早く食べに行こうっ〉

パクが類の手を引っ張って
すっげぇ勢いで楽屋の方に走ってった

〈相変わらず類にうまいこと
 誘導されてんなぁ〜あいつww〉

〈完全に話をそらされたのに本人は
 全く気付いてないですからね〉

〈それにしても類って何であんなに
 泣いてるの隠そうとすんだろな
 いやまぁ隠せてねぇんだけどさぁ〉

〈アキラの前でしかまともに泣いたこと
 ないんじゃないですかね
 おれも含めて他のメンバーにはいつも
 泣いてないって必死で隠しますから〉

俺の前でだけ、か……
そんだけ頼ってくれてんのかなぁ〜
まあそれはすげー嬉しいけど…
でも他のメンバーにも別に無理に
隠すことねぇのにな……

〈え!なになに!何その目!こえぇ!〉

〈類が自分にだけ弱味を見せてる
 ことに優越感を感じてる顔してたので
 ちょっとイラっとしただけです〉

〈何だよそれ!
 ……まぁでも…類が、早く
 変に強がんないようになりゃいいよな〉

〈……はい〉

ほんと、思ってること何でも言って
思いっきり泣いて笑っていいのに
あいつはどっか周りに気を使いすぎてる

とりあえず今は俺だけでもいいから
類が心から頼れるような
存在でいてやらないとな!


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