Story

□僕だけの!
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夏キスPV撮影楽屋にて
※奏目線


《………》

撮影中は全くいつも通りの類だったのに……
休憩で楽屋に入った途端何だか
様子がおかしい

〈ねー類ー?
 ……おーい、類ちゃーん?〉

他のメンバーもさっきから類をチラチラ見て
相当気にしてる様子だったが、
ついにアキラが本人に聞くつもりらしい

《……ん?》

〈ん?じゃなくてさ…今飲もうと
 してるそれ、コーヒーだぞ。先生の〉

《……あぁほんとだ!ごめんなさい先生》

〈いや別に飲みたいなら飲んでも
 先生は構わないんだけど…〉

〈類、コーヒー飲めねぇじゃん〉

《……あ、そっか。忘れてた》

〈忘れてたってお前……何か変だよやっぱ〉

《…らっちょはさぁ、やっぱり自分の肩
 くらいの背の低い女の子がタイプなの?》

〈……え?何だよ急に〉

《そうなの?》

〈だから急にどしたんだよ〉

《僕よりダンス歴もきっと長くて、
 動きキレッキレだし
 身長もちっちゃいしアキラ先輩と
 並んでセンターできちゃうんだもんなぁ
 アキラ先輩もやっぱりそういう人が〈まてまてまてーい!!!〉

《…なに?》

〈類…まさかとは思うけど
 それキンタローさんの話じゃね?〉

《そうだよ?》

〈〈〈〈ぶふっ…!!〉〉〉〉

………類はやはり何処か抜けてる
というか天然というか

そんな真剣な顔で言われるとさすがに
笑いを堪えられなかった


〈あのなぁよく聞け類、確かにあの人は
 すごいエンターテイナーだと思うよ?
 でもその…タイプだとかそういう
 あれじゃないだろーよ、な?分かるか?〉

《だってらっちょ、思いっきり
 くしゃみできる女の子がいいんでしょ?
 キンタローさんきっとぴったりだよ》

アキラと類、2人ともおもしろいくらい真剣で
他のメンバーも必死に笑いをこらえているのが見てとれる

〈いやだからなんでそこで
 キンタローさん出てきゃうんだよ〉
〈ぷふっ……ふふふ…〉

〈おいパクお前も笑ってねぇで
 なんとか言えよ!〉

〈ア、アキラ先輩……
 ああいう方が…
 タイプだったんですね…ぶふっww〉

〈そ、そうだったんだねアキラっちょ!
 いいんじゃないかなっ?
 僕は、ちょっと分かんないけど…ふふww〉

〈…くくwwww〉

〈ちょ、先生まで!お前らなぁ〜〜っ!〉

アキラがあたふたしてるのもなかなか
おもしろいですがこれ以上言うと
類が本気にしそうで可哀想なので
不本意ですがアキラを助けてあげますかね

〈で、つまり類はキンタローさんに
 やきもちをやいているってことですか〉

《っ!》

〈え、やきもち!?〉

〈今まで同じメンバーである自分ですら
 アキラと並んでセンターで踊ったことは
 ないのに、とか自分は女の子なのに
 アキラとほとんど身長が変わらない、とか。
 まあ後は空き時間アキラが仲良さそうに
 キンタローさんに振りを教えていたのも
 ずっとみてましたよね?類〉

〈なーるほどねぇ…って泉!!
 ひとつ聞き捨てならねぇから言っとくけど
 俺と類の身長は4センチも!!
 違うかんな!!そこ間違えんなよ!〉

〈いちいち細かいですね
 そういうところが小さいんですよ〉

〈はぁ!?おまっ
 4センチは全然ちげーじゃん!
 俺のが全然高ぇだろ!
 ……ってそれはまぁいいやとりあえず
置いといて!類〉

《…はい》

〈なに?類は俺がとられると思ったの?〉

《いや、なんて言うか…その
 ちょ、ちょっとだけ、思った…》

〈はぁー…変な心配すんなよ
 俺はずっと類だけの〈何かの決め台詞のつもりですか?〉

〈あぁ!ちょ!おい泉!
 今いいとこだったのにー!〉

急に優しい笑顔になり、ちゃっかり
類の肩に手まで置いて…
まったくアキラはいつも…

〈はぁ……〉

〈なんだよそのため息!も〜!
 …だからな類、そういうことだから
 寂しくなったらいつでも〈あ〜考えてみれば確かにアキラと類がWセンターって今までなかったな〉

〈ちょいちょーい!先生!〉

〈それもそうですね!〉

〈よーし、じゃ次はそれで構成
 考えちゃおっかな〜先生〉

《え!ほんとですかっ?
 アキラ先輩とセンターしていいの!?》

〈アキラっちょとるーくんが
 センターってことはきっとバリバリの
 ダンスナンバーになるね!
 いっぱい練習しなきゃ!〉

《先生ありがとございます〜!》

〈な、なんかそんな喜ばれると
 ちょっと照れるって言うか…〉

〈類はセンターだから
 張り切ってるだけじゃないですか?〉

〈いや思いっきり俺と!センターだ
 って喜んでんじゃん〉

〈……〉

次の次の曲は俺と類をセンターに
してもらうよう先生に掛け合ってみましょう



その後の撮影
アキラ一目惚れのシーン

スタッフ〈じゃラスト1テイクお願いしまーす
もういかにも心撃ち抜かれた!みたいな表情で!〉

〈おっけーす!お願いしまーす〉


《アキラ先輩すごいなぁ〜かっこいいね》

〈ねぇねぇ類、これはいいの?〉

《いいのって何が?》

〈このシーンはやきもちやかないんですか?〉

《え、なんでですか?
 やかないですよ〜》

〈……奏先輩、やっぱ類って
 なーんか変ですよね〜……
 普通こっちにやきもちやきません?〉

〈……はい、相当変わり者ですね〉

《ん?なんてなんてー?》

〈〈別に…〉〉


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