Story

□先生、あのね
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ある日のダンス練習にて
※先生目線


《先生〜〜!僕、最近ウィンドミル
 練習してるんです!見てください!》
(ウィンドミル=ブレイクダンスの代表的な技)

〈へ〜!類が?何でまた急に〉

〈え!!いつの間に!!
 みたいみたい!やって類!〉

急にどうしたのかとも思ったが
元々頑張り屋な類の事だ
また新しいものに取り組み始めたんだろう

ー次の日ー

《先生〜〜!僕バイオリン
 新しい曲弾けるようになったんです!
 聴いてくれますか?》

〈おお!それは聴きたいな〉

〈この間はピアノも新しい曲
 覚えたって言ってましたよね
 今度はなんの曲ですか?〉

前にパクから、類は大抵の楽器は
できるとかって聞いてたが
嬉しいことに忙しくなってきた最近。
一体いつ練習してんだか……

ー次の日ー

《先生先生〜〜!
 逆立ち3分できるようになったんです!
 ちょっと今からやりますね!》

〈お?逆立ちかー!俺もやるやる!
 負けねーかんな類!〉

……さすがにおかしい。
近頃の類は絶対変だ

ー次の日ー

《先生!!僕!トマト!
 トマト食べれるようになりました!
 ほら!見てください!今日なんて
 トマトジュース買っちゃいました!》

〈え!!るーくんすっごーい!
 トマト克服できたの?えらいね!〉

……………。
これはもしかして

〈類、ちょっとおいで?〉

メンバーのいる部屋を出て
廊下で類と向き合う

《先生、僕ね、あとは……えっと
 あ!着替えるのも前より早くなったし
 筋トレもうぃとと同じ回数できるし
 最近アキラ先輩に歌も教えてもらって…
〈ねぇ類。何があった?〉

《別に何もないですよ!》

〈先生に嘘つくの?〉

《えっ、と……》

〈じゃあ聞き方変えるね
 類は何をそんなに焦ってる?〉

極力優しく、類が話しやすいように……

《……ごめんなさい》

〈なんで?先生怒ってるわけじゃないよ〉

《……今のままじゃ駄目だから…
 先輩たちもうぃとも、すごい頑張ってて
 進むのが早くて、置いてかれたくないから
 僕も、ちゃんとアルスでいたいから…だから…》

前から類は、どこか自分自身に
劣等感みたいなのを感じている所が
あるような気はしていた

それは類が一人女の子だと
いうこともあるし、きっと他にも
色々類なりに悩んでるんだろう

〈何だ〜先生はてっきり
 最近先生が構ってくれなくて寂しいっ
 とか言うのかと思ったのにな〜〉

《そ!そんなの!言わないですっ!》

〈類はね?アルスに絶対必要な存在だよ
 先生だけじゃない、みーんな思ってる〉

《ほんとに…?》

〈ほんとに。類がいることで
 アルスはもっと進化できるし
 もっともっと色んな人に元気に
 なってもらえるグループになる
 先生は断言できるよ〉

まっすぐ目を見て頷く類を見て安心する

〈まあ確かに最近類のこと
 構ってあげれてなかったな先生
 寂しかったな〜ごめんな〜〉

わしゃわしゃーって頭を撫でてやる

いつも通り、ちょっとふくれて
何言ってるんですか!もう!とかって
突っぱねられると思ったら

《はい…》

〈……………!!
 可愛いなぁ〜もうお前は〜〜 !!〉

…予想外の反応に少し取り乱したが

《んふふっ》

類のいつも通りの笑顔が
見られて良かった

これからも先生がいくらでも
構ってやるからな、類


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