Story

□末っ子の偉大さ
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ある日のダンス練習にて
※アキラ目線


〈じゃあ一旦休憩にしよっか
 ……なんかこうゆうの先生ぽくていいな〜久しぶりだな〜〉

〈ぽいってゆうか先生じゃないですか!
 まあでも最近はアキラ先輩が
 練習仕切ってくれてましたからね!〉

パクが何故か自慢気に言ってから
俺の方をみて急に心配そうな顔になる

〈てかそんなことよりアキラ先輩!!
 ほんとに大丈夫なんですか?〉

〈アキラっちょ、喉まだ痛い…?〉

〈無理すると治るものも治らないんですからね〉

泉は相変わらず説教口調だけど
顔はいつもより全然こわくねー

なになに、もしかして心配してくれてんの?

ありがとな!!

〈…………〉

って、すげー言いてーけど
声が出ねんだよなぁこれが……

代わりに親指たてて心配そうな
みんなの前に突き出してやった

《アキラ先輩が大丈夫って言うなら大丈夫だね
 よし、休憩しよ!ね?》

類がいつもの笑顔で場を
和ませてくれたおかげでみんなちょっと
表情がやらかくなった気がする

やっぱこういうとき、いちばん周りをみて
行動できるのは類なのかもな

……敵わねーな

《つがれだあぁぁあづいぃぃ
 水なくなったぁ…
 うぃとぉーみずぅー水買ってきてぇ》

〈はぁ!?なんで僕が!
 いーーやーーだぁーー〉

〈もぉーウィトっちはケチんぼだなー
 買ってきてあげなよ〜〉

〈そだぞーパク!先生はポカリな〜〉

〈ちょ!先生まで!
 でも僕もそろそろコーラなくなりそう…
 …もーー分かりましたよ行ってきますぅ〉

〈僕も一緒に行く〜プリン買っちゃお♪〉

〈えっ、あれ!奏先輩も来てくれるんですか!?
 やっさし〈顔洗いにいくだけですけど〉

〈ですよね…〉


あー今日もアルスは賑やかだなー

なんて考えてたら、
声が出ないことが急にこわくなってきた

これはただの風邪で
歌の練習しすぎてちょっと喉にキテるだけで

でももし、

このままもし、

声が戻らなくて
俺はもう歌えなくて……

みんなとうるさいくらい騒げなくて……

この声でメイトちゃんに
なにも伝えられなくなって……

俺はもう2度と、



《せんぱい……?アキラ先輩!》

はっとした
目の前に類の顔
シーンとした部屋

…あれ?先生は?どこいった

《先生なら電話かかってきてちょっと出てくるって》

ふふっ

《何笑ってるんですか?》

なんにも言ってないのに、つか言えねーのに
類は俺の思ってること簡単に読み取ってくれんだな

俺を覗き込んで不思議そうな顔してる
類の頭をなでた

目をつぶって嬉しそうにする。かわいい。

《ねぇアキラ先輩、》

と思ったら、急に類が真剣な顔になる

なんだ?

《声は戻ります。
 心配しなくてもすぐ元通りになります
 またうぃととバカみたいに騒いで
 きっと奏先輩に怒られます》

思わず類の頭を撫でてた手がかたまった

《そうでしょ?》

言って首をかしげて笑った類があまりにも眩しくて
らしくもなくネガティブになってた自分がカッコ悪くて

類の一言でこんなにも
安心できんのかってなんかおかしくて

《うわっ、ちょ、先輩…?》

やっぱほんと、類には敵わねぇわ

〈類〜〜!
 買ってきてあげたぞ〜…って
 ちょっとちょっとアキラ先輩!!〉

〈わーアキラっちょ!
 るーくんに何してるの!〉

げ!タイミングわりーな

〈…アキラ、今すぐ状況の説明と
 謝罪を原稿用紙にまとめて
 おれに提出してください。〉

え!ちょ!泉まで!?
さっきまでいなかったじゃねーかよ!


結局このあと類と無理矢理
引き剥がされて、代わりに泉から
ながーーーい説教聞かされる羽目になったぜ…

までも、そのおかげっつーかなんつーか

〈…………ぬあぁぁぁ!!
 もう勘弁してくれぇーーー!…………あ。〉

〈《あ!!》〉

無事声も戻ったんだけどなっ!


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