Story

□先輩
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ある日のダンス練習にて


レッスン室の前で中の様子を
そっとうかがうタツキとパク

《……わん……つー……すりー……》

〈ウィトっち…
 今日のるーくんどうしたのかな? 〉

〈あー…なんか最近アキラ先輩とスタジオ行ったり
 歌の練習にすごい力いれてるらしくて…
 類って何かに集中すると
 寝るのとか食べるのとか、他のこと
 忘れちゃうじゃないですか?〉

〈あ〜うん…イベントの前日とか
 そのことで頭いっぱいでご飯
 食べてないこと多いもんね……〉

苦い顔して頷くパクとタツキ

〈それで、歌の練習に集中し過ぎて
 いつもよりダンスができてない〜って
 朝からずっとなんか焦ってるみたいで…〉


《はぁ……ちがう……》

部屋から聞こえてくる類の声

〈んー…何が違うんだろ……?〉

〈類は自分に厳しすぎるんですよ!
 だってあんなにちゃんと出来てるのに!!〉

〈ウィトっち声大きいよ…!〉

タツキとパクに気付く類

《うぃと!たつき先輩!
 あ、えっと、ごめん…なさい…
 あの、でも!本番までには絶対!
 絶対ちゃんとやるから!ごめんね》

〈ちがっ…

慌てて訂正しようとしたパクを
静かに止めて、また必死に練習を
はじめた類に近付くタツキ

〈るーくん、ちょっと休憩しようよ〉

《あぁはい、これができたら…》

目も合わせない類

〈もうできてるもん〉

《できてないです…》

〈できてるよ〉

《まだ全然ダメなんです!!》

〈類……〉

心配そうに類とタツキを見比べるパク

類の頬を両手で包み
目を覗き込むタツキ

〈じゃあ、いつできるの?〉

《そ、れは…》

泣きそうな目でタツキを見返す類

〈ねぇ類
 僕のこと、信じられない?〉

ビックリした顔で
思いっきり首を振る類

〈類はちゃんとできてるよ
 いつもみたいにすっごく綺麗で
 思わず見とれちゃうような
 僕の大好きな類のダンス
 ちゃんとできてる。ね?〉

タツキの満面の笑みを見て静かに頷く類

〈よし!じゃあケーキ食べようケーキ
!〉

《…ごめんなさい…たつき先輩》

〈ん?あ、ケーキ?
 いいよいいよそんなの!
 るーくん今日はなにがいいっ?〉

食べよ食べよー♪と笑顔で
類の手を引くタツキ

〈タ、タツキ先輩が…
 超かっこいい……!!〉


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