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《……ごめん…うぃと……ごめんなさい…》

〈今は寝てるだけだって看護師さん言ってただろ?
 大丈夫だから。
 類のせいじゃないよ〉

〈そうだぞ類、お前ちょっと1回落ち着けって〉

〈顔色も悪いですよ
 パクもたんこぶひとつで済んだんだし
 そんな思い詰めなくていいから。
 一旦外の空気吸いにいきましょう?〉

《……嫌です……うぃとが起きるまで絶対離れません》


………ぼんやりみんなの会話が聞こえてくる
なんかぐっすり寝た感じだなぁ…起きなきゃ…


〈あっ…ウィトっち…!起きた!起きたぁ!!〉

《うぃと……?》

〈…んん〜…おはよう、ございます〜〉

病院…だ

〈おはようじゃねーよ心配させやがって!
 俺たちのこと、ちゃんと分かるか!?〉

〈頭の他に痛いとことかないか?〉

〈はい!ちゃんと分かります!
 どこも全然いたくないし
 いっぱい寝てすっきりした感じです!〉

〈ウィトっち〜良かったぁ〜〉

〈はぁーー…〉

奏先輩そんなでっかいため息つかなくても!
怖いから言わないけど!

地べたに膝をついて僕の手をずっと
握っててくれた類を見ると
目にいっぱい涙をためて必死に
泣くの堪えてる顔してる

類、ケガしてないみたい…
あぁ〜ほんと良かった〜…

今まで寝てたけど、でも類が
ずーっと手を握っててくれたのは分かる
なんでか分かんないけど
ずっとこうしてくれてたんだって感じる

〈そんな泣きそうな顔しないでよ類〜
 全然どこも痛くないよ?〉

《…か……ばか……うぃとのバカ!!!》

〈ぅえ!?〉

てっきり、無事で良かった〜ぎゅ〜みたいな
展開になると思ってたからびっくりした

僕の手をさっきよりも強く握って
相変わらず目に涙をためながら見上げてくる

というか睨まれてる?のかな……

《バカ!バカ!
 なんでっ…なんで…こんなことっ…したの…》

〈え?ちょ、類泣かないで?ね?
 ごめん!僕が悪かったから!ごめんね!〉

真っ直ぐ僕の目を見たまま、ぽろぽろ
涙をこぼす類をみてさすがに焦った

必死に落ち着かせようとしても
全然泣き止んでくれない

《うぃ、とが…もしこのままっ…
 起きなかったらっ………
 ぼく…どうしようって……っ…》

〈え?〉

《…うぃとが…いなくなっちゃったら…っ…
 って…怖かった…ほんとに、怖かった…の…》

類がこんなに感情を表に出して
何かを言うのをはじめてみた

ぽろぽろぽろぽろ涙を流して
声を詰まらせて、こんなに必死に
伝えてくれる姿をはじめてみた

そこまで僕のこと心配してくれてたんだ……

〈類、ごめん。心配かけてほんとにごめん…〉

《もう…っ…2度とあんなことっ…しないで》

泣きながら見上げられて
ついつい頷きそうになったけど

〈ごめん、でも…それはできない
 類が危ない目に合いそうなら
 僕は絶っ対なんとしても助けるよ〉

類がムッとしたのが分かった
あ〜、これ怒らせちゃった…?

〈あっでも!でもでも!次からはちゃんと
 僕も類もケガしない方法で
 かっこよく助けるからっ!ね?〉

って言ったら、 類が少しの間うつむいた

それからぱっと顔をあげて
鼻をすすって、涙を拭いてから
僕の目をしっかり見て

《じゃあ僕も、うぃとがピンチのときは
 かっこよく助けちゃうから安心していいよ》

いたずらっ子みたいな顔で笑った


あぁ、そっか
類はちゃんと、いろんな表情
僕に見せてくれてたんだ

考えてみればいつも笑顔の類でも
僕にはちゃんとその笑顔の意味が分かるし

どんな気持ちなのかだって類のこと
しっかり見てたら分かることだった

今までだって、別に類が僕達に素の姿を
見せてくれてないなんてことなかったんだ

つらいことを自分から言ってくれないなら
僕がちゃんと気付いてあげればいい
こんなに一緒にいるんだもん
絶対に見逃さないようにしよう

《…でも…ほんとにごめん
 僕がどんくさいせいでうぃとに怪我させて…
 ごめんなさい。
 ……それから、助けてくれてありがとう
 うぃとが真っ先に走ってきてくれるのが
 見えたとき、僕嬉しかった》

真剣な顔で静かに言って、
類はまた目をうるうるさせる

〈類が無事でほんと良かったよ
 もうこんな心配させることしないって約束する
 だから泣かないで?類〉

精一杯優しい声で言って頭を撫でた

《う、ん……っ……》

あぁ〜また泣かせちゃった…
類はやっぱり泣き虫だなぁw

僕のためにこんなに泣いて怒ってくれたのは
正直言うと嬉しかったけど、でももう
これからは大事な類を泣かせないように
今まで以上に僕が側でしっかり守ろう


あ〜!モヤモヤして損した!
こんなに簡単なことだったんだなぁ〜

今度ちゃんと、アキラ先輩とタツキ先輩にも
話聞いてくれてありがとうって伝えよう

これですっきりしたし、よく寝たし…

〈それにしても!お腹すきましたね〜!
 なに食べに行きます〜?焼肉?
 焼肉にします??〉

〈……ほんとに何もないみたいで安心したよ先生〉

〈頭うってパクもちょっとは静かに
 なるかと思ってたんだけどな〜〉

〈わ!ひどいアキラ先輩〜!
 それじゃまるで僕が普段
 うるさいみたいじゃないですかぁ!〉

《〈〈…………。〉〉》

〈ウ、ウィトっち!
 残念だけど、もう焼肉屋さん
 閉まっちゃうんじゃないかなぁ〉

〈え!いまって何時ですか?
 僕そんなに寝てたんですか?〉

《もうすぐ夜の11時だよ》

〈ええ!!うそ!えっ、みんな
 帰らなくていいんですか!?〉

〈いい訳ないでしょう
 でも類が、パクが起きるまで
 絶対何があっても側を離れないって
 泣きながら駄々こねるから
 マネージャーさんも困っちゃって
 仕方な…《さっ、さぁさぁ!
精密検査も異常なかったし!うぃとも元気みたいだし!お医者さんも目が覚めたら帰っていいよって言ってましたよね!よーし!帰りましょうか!や、焼肉屋さんまだ開いてるところあるかなぁ〜!》

〈そうそう!ほんっとこいつ、
 お前が寝てる間大変だったんだからな!〉

〈類…そこまで僕のこ《ねぇ!焼肉屋さん!探すんでしょ!ね!行きましょうよ!早く!あ〜あ、お、お腹すいたなあ!》

〈るーくん、ほんっとにウィトっちのこと
 心配して《うわーん!せんせーい!》

〈はーいはいはいww
 類が照れ屋なのみんな知ってるだろ〜?
 あんまいじめないのw〉

先生に頭を撫でられながら
うんうん頷く類

〈ごめん類!もう聞かないからっww〉

〈わりぃわりぃ!
 ま、でもどっちかってゆーといつも
 いじめてニヤニヤしてんの先生だけどなww〉

〈確かにそうですね〉

〈……で焼肉だけどぉ〜
 これからお店探すのも大変だし
 パクもまだ無理させちゃ駄目だから
 先生ん家で……やっちゃう?〉

〈え!!いいんですか!?
 やっちゃうやっちゃう〜!やったぁー!〉

《良かったねうぃと〜!》

先生ん家でみんなで焼肉だぁーー!!
やったやったー!!

〈じゃ先生は先に受付行って
 看護師さんと話してるから、パクも
 みんなも帰る用意できたら出ておいで〉

〈先生僕も一緒に行く〜〉

《あ、僕も!さっき看護師さんにもわがまま
 言っちゃったから…ちゃんと謝らなきゃ…》

〈えらいえらい。ちゃんとお礼も言わなきゃな〉

類がしっかり頷いた


〈じゃ俺らもすぐ行くわ!〉

タツキ先輩と類が手を振りながら
先生と一緒に出ていって
病室に僕と奏先輩とアキラ先輩3人になる

なんだか急にしーんとして
ぱっと奏先輩を見るとすごく
真剣な顔してこっち見てる…

え、えっと…

いや奏先輩はいつも真剣な顔なんだけど
なんか空気が……

〈…パク。〉

〈は、はい!〉

なんか分かんないけど…怒られる…!?

〈…よくやった〉

〈ごめんなさっ………へ?〉

よくやった?なにが?褒められてる?

〈おう!ほんとよくやったよパク!
 類のことばっちり守ってかっこよかったぜ!〉

アキラ先輩にぐわーって雑に頭を撫でられる

〈あ、えっと、はい!
 体が勝手にって感じで!〉

〈あの判断の早さはすごかった
 怪我も大したことなくて…まぁ、体が
 丈夫なのが唯一の取り柄ですもんね〉

〈はいっ!〉

おお〜アキラ先輩にも奏先輩にも褒められてる…!

〈おい、唯一のって言われてんぞwww〉

〈はいっ!〉

〈はぁ…ww まいっか!
 よし、荷物持ってやるから早くいくぞパク〜〉

〈あ、ありがとうございます!
 みんなで焼肉楽しみですね〜!!〉

〈おう!〉

〈そうですね
 食べ過ぎてお腹壊さないように〉

〈分かってますよぉ〜♪〉

〈……どうだか…〉

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