Dream

□プロローグ
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あれから数週間、この町のことを動物達から知り、山の頂上から町を見下ろすのが最近の日課となった

頭上を飛び回る小鳥たちが今日は平和だと歌う

遠くの"学校"から音が響く


『あ!お昼だよ藍歌!』

「うん、戻ろう」


隙間を縫って木のてっぺんから飛び降りた
木木に手を付き軽々と移動していく

ピリッと肌がしびれた
これは


『あ、来るよ。ねいばー来るよ』

「どこに?」

『やばいよ藍歌!黒いの近いよ!!』

「え」


藍歌も、動物達も知らなかったのだ
この森は警戒区域からそう離れていないことを

そして今日、ついにゲートが山の目の前で発生してしまった


山中の動物達も騒ぎ出し、遠吠えが響く

鈍い地面を揺らす音ーー
ネイバーがこちらに侵入してきた


「みんな!」


木の枝を蹴り、スピードを速めた
細かい枝で傷を作っているがそんなの今は関係ない

ものの数秒で辿りついたが、
そこは
すでに地獄だった


「う、そ、、やめて、やめてよ!みんなをたべないで!!」

『藍歌!』


叫んだ私にネイバーが気付き、こちらを向いた


『早く逃げな!もとよりネイバーは人間を襲うんだよ!』
「知ってる!けどみんなが!」


隣にいた鹿に服を掴まれ、ネイバーからの攻撃をさけた
そして大柄なクマに担がれ走り出す、
どんどんと距離が遠のいていく


涙でぼやけ始める、
ほとんどがネイバーに踏みつぶされ、喰われ、

私は泣き叫んだ


「離して!ネイバーは私(人間)が狙いなんでしょ!だったら私が囮になるから!」

『それを言うなら僕たちだって同じさ、藍歌を守りたい』


私たちが町に出た時、三つの影が山へと入っていった
たぶんも何もボーダーだろう


来るのが遅い

みんなを助けて

みんなを返して

おねがい...


力なく私は膝から崩れ落ちた



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