コナン短編集


□女の子の日(コナン)
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あぁ...きてしまった。月に一度のモノが。
これからの1週間がつらくなると思うと憂鬱である。

とりあえず、哀ちゃんところへ行くことを決める。
こういう時に独りでいるのは余計に寂しくなるからだ。

そうと決まれば、早速哀ちゃんの家こと阿笠博士の家へと向かう。



ピンポーン

「博士ー。哀ちゃんいる??」
「おぉ!めぐみくんか!いらっしゃい。哀くんなら下にいると思うぞー」


出迎えてくれた博士にお礼を言って、哀ちゃんのところへ向かう。


「哀ちゃん、こんにちは」
「あら、いらっしゃい。貴女が来るなんて珍しいわね。何か私に用かしら」


哀ちゃんの部屋を部屋を訪ねて声をかけた。
彼女お手製の薬を貰うためである。


「月のものが来ましてですね。…可能であればお薬いただけないかなと…。」
「あぁ、そういうことね。そういえば貴女、重いんだったわね。ちょっと待って、今用意するから」
「ありがとう。今度お礼に女子会しましょ!」
「そうね。楽しみにしてるわ」

流石に無料でいただくのは申し訳ないので、代わりと言ってはなんだが女子会に誘うことにした。
中身は女の子より女性という言葉が合うため、


「身体あたためておきなさいよ?少しは良くなると思うから...。」


はい、どうぞと薬を渡され、ここは冷えるからリビングへと上がるように言われた。


「やだ。もう少し哀ちゃんと一緒にいる。」
「...分かったわ、私も上に行くから。先に行っていて、すぐ行くわ」


じっと視線を送り続けた結果、ため息を一つ零して彼女が折れてくれた。


「…どっちが子供なんだか」


後ろから声が聞こえたような気がするが、無視してリビングへ向かう階段を上る。
リビングへ戻り、ソファーに座る。
座り心地が良すぎてか、いつの間にか夢の中へ...。


「......めぐみさん?...寝ちゃったのね。...おやすみなさい」


めぐみが眠って、少しするとコナンがやってきた。


「あれ?なんでめぐみがいるんだ?」
「彼女、ついさっき来て...寝ちゃったわ」
「そうか...」

そう言ってコナンは毛布を持って来るとめぐみに掛けた。


「そうそう、彼女が起きたらホットココアをいれてあげて。ここに来てから何も口にしてないから」
「あぁ、分かった。...にしても何も飲んでねーのかよ」
「彼女、用意する前に寝たのよ」


するとコナンは何故ホットココア7なのかと聞いてきた。

全くこの男は.....。
好きな女のことなら知っておきなさいよ。


「...女は身体を冷やしたらいけないの。特に今の彼女はね。分かったかしら?」
「?...あぁ」


私はヒントを与えたんだから、後は自分で考えなさい。
名探偵なんでしょう?

2人が会話をしているとめぐみが目を覚ます。


「...あれ、寝ちゃってた。どうして新一がここに?」

まだ起きたばかりでボーッとしているが、徐々に目が覚めてきた。

「哀ちゃん、寝ちゃってごめんね」
「別にいいわよ、寝てるほうが楽なんじゃないの?」


灰原に肘でつつかれ、ココアを淹れるためキッチンへと向かう新一。


「寝てても起きてても、あんまり変わらないから、起きてるよ」


そこにココアを持った新一がやってくる。

「ほら、ココア淹れたから飲めよ」
「ありがとう、新一」
「熱いから気をつけろよ」


新一からホットココアを受け取り、早速ひと口いただく。
いつも自分で淹れるより優しい味がした。


「...身体冷やしちゃいけないんだろ?しっかりあっためとけよ」


今の時期はどこか人肌恋しく感じる。
ココアの温度が、新一の優しさが、私の心に染み渡っていく。

ココアを飲んだおかげで身体が温まり、また睡魔が襲ってくる。


「めぐみ、眠いのか?」


眠いことを伝えると、ここにいるから寝ていいと言われる。
ただ、1つだけお願いをする。


「寝るまででいいから手握ってて欲しいの」
「握ってるからゆっくり寝ろよ」


俺の言葉を聞いためぐみは微笑んで目を閉じた。
少しするとめぐみの寝息が聴こえてくる。


「おやすみ、めぐみ」


1時間ほど経過したころ、めぐみが目を覚ます。


「...ん...おはよ...っ、」


今まで、あまり感じていなかった痛みを感じる。
これは本格的に始まったな。

ふと、隣を見ると新一もこちらに頭を預けながら寝ていた。
寝ている新一の頭を撫でていた。
こうしていると、なんだか新一が弟みたいに見えてくるから不思議である。


「可愛いなぁ」
「......めぐみ?」


私の呟きでどうやら起こしてしまったようだ。


「ごめん、起こしちゃった?」
「いや、そんなことないから気にすんな」
「そっか、…っ、イテテテ」


あまりの痛みに顔が歪む。
そんな私を見て、必死に心配してくれる新一。
なんだか申し訳ないな。


「大丈夫か!?」
「...だい、じょぶ...だから」
「全然大丈夫じゃないくせに、そんなこと言うな。それでどこが痛い?」


お腹が痛むことを伝える。
間違ってはいない。今は腹痛だもの。
本当を言えば腹痛と頭痛に悩まされているのだが。

いろいろと聞かれる前に哀ちゃんが一言。


「工藤くん...女には女の事情ってものがあるでしょう?察しなさいよ」
「...女には、女の事情.........あ、」
「分かったみたいね。全く...貴方探偵でしょう、気づきなさいよ」


呆れた様子で哀ちゃんが言った。
こればかりはなかなか言えないものだ。
同性の間でも話しにくい話題であるのだから、異性ともなれば尚更だ。


「めぐみ、言わなくて良いのよ。いくら大切な人だからって、無理して言う必要無いわ。」
「なぁ、その...俺、男だから...そういうのは分からないんだけどよ...。だけど...出来ることがあったら、遠慮なく言えよ...」


顔を赤くしながら新一が言った。
いつもはかっこいい姿ばかりだが、今日ばかりはかわいく見えた。
きっと大人になったら、優作さんみたいに素敵な大人になるのだろう。


「うん。ありがとう」


満面の笑みでお礼を言う。


「っ...おう」




(新一って「ありがとう」って言われると、絶対照れるよね)
(...それはお前だからだよ。お前にだけだよ)


ーFinー

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