Harry Potter 短編集
□さりげない優しさ。(リドル甘)
1ページ/1ページ
...また寝てしまった。
私はよく、談話室のソファーに座って本を読む。部屋でも読めるが、部屋のほうが少し寒い。そして、リドルにも会えない。
今みたいに、談話室のソファーでいつの間にか寝てしまっている、なんてことが度々ある。
すると何処からか声が聞こえた。
「やっと起きたか。レイ、また寝てたよ」
どうやらその声の主は、私の後ろにいるようだ。
振り向いたりはしない、というより背もたれに邪魔されて出来ない。
ただ、足音は聞こえるため、此方に近づいて来ているのが分かった。
「...全く。君の此処で寝る癖、直したほうが良いよって前にも言ったのに。風邪ひくよ?」
そう耳元で囁かれた。
一瞬、囁かれたことに驚いてしまった。
リドル、ドキドキが止まらないです。
どうしてくれるんですか。もう。
「ん...ごめん。気づいたら寝ちゃってた」
「うん、知ってる。ずっと見ていたからね」
私たちは、世に言う"恋人"という関係にある。
あまり会話はしないけれど。
会話が無くても、ただ貴方のそばに居られれば、それで良いの。
起きて気づいた。
私に掛けられているローブ。
貴方が掛けてくれたのよね。
口では風邪をひくから、と言っているけれど、風邪をひかないようにと保温魔法をかけてくれたことも知ってる。
「リドル、ありがとう」
闇の帝王としての貴方も、今の貴方も、どちらもリドルであることに変わりはない。
どちらの貴方もさりげなく優しくて、どこか寂しそうで...。
でも、そんな貴方が大好きよ。
ーFinー