『良い天気だなぁ〜!』
午前中の仕事を終え、縁側に腰を降ろし伸びをする。
「ご苦労さん!」
後ろから聞こえた声に振り返ると非番で今まで寝ていた原田の姿。
『………』
「ん?どうした?」
自分を見つめたまま固まる女の顔を覗き込む。
『…原田さん…着ている物が…』
何となく顔を赤くして俯きながらに言われ自分の体を見る。
「あ?着てるもん??」
寝起きの為いつもの袴姿では無く、着崩した着流し。
崩れ過ぎて胸元は全開って程に肌けていて、腰に巻いている紐一本で何とか保っていた。
「あぁ。悪かったな。」
簡単に着流しを直すと隣に腰掛けて頭を撫でる。
「毎日、良く働くな。」
原田に頭を撫でられ褒められて、また顔を赤くして俯く女。
『そんな事…ないです…』
遠慮気味に呟く女に原田は笑顔を向けた。
「この後暇か?暇なら、甘味喰いに行くか?」
日頃の褒美だ。と言われ顔を上げて微笑む。
「じゃぁ、着替えて来るかな!……っとその前に…」
立ち上がろうとした原田は、前屈みになると女の唇に触れるだけの口付けを落とした。
『…原田さん////』
「…奢ってやる俺に対しての褒美な?」
悪戯っ子の様に笑う原田に頬をふくらませる。
「本当は、茶屋ぐらい行きてぇが、それは我慢しとくわ。」
そう言い残し自室に着替えに戻る原田。
残された女は原田の唇の触れた自身の唇に触れた。
『…原田さん…』
私だけを見て欲しい。
貴方の物になりたい。
私の心は貴方の物。
だから、いつか……貴方の心を私に頂戴。