咲く花
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アロダイトの森を抜けたのち、見えたのは広大な草原や湖。見たことのない景色ばかりだった。
「すごい…!凄いね!お兄ちゃん!!」
「あんましはしゃいで転ぶなよー!!」
「わかってるって!!」
ジイジの加護領域から抜けたので油断はできないけれど、初めて見た景色に興奮が抑えられなかった
「湖を抜けた先に都がある、行こう」
少し遠いところにもう都らしい建物が見えていたため、私たちは胸躍らせながら歩き出した。もうすっかり夜が明けた明るい空の下で
湖の都、レディレイク
大きな橋によって大陸と繋がれた大きな都市とだけあってやはり貫禄があるように見える。
「何かもめてるな」
「本当だ、馬車が止まってる」
「行ってみよう」
何台もの馬車が橋の上に止まっていて通れなくなっていた。なにが起きているのかわからず、私たちがキョロキョロと辺りを見回していると、馬車から出てきた人の一人が声をかけてきた
「あたしらはセキレイの羽、商人のキャラバン隊だよ」
「俺が隊長のエギーユ、その子はロゼだ。よろしくな」
「オレはスレイ、よろしく!」
「ユイです、よろしく!キャラバン隊ってことは、旅をしているの??」
「そう!世界を股にかけてんだ!!」
へぇ…と兄妹そろって納得の声を上げるとロゼが私たちの顔を見てああ〜と声を出した。
「もしかして、2人って兄妹??」
「そう、ユイは俺の妹なんだ!」
「へ〜、だと思った。顔立ちとか髪の毛の感じとか少し似てる気がしたんだ」
「よく言われるよね」
イズチにいた頃もよく似てるって言われてたのは嬉しかったけど、髪の毛はお兄ちゃんとそっくりなせいですぐ跳ねるからそこは悲しいんだよなぁ…
「ロゼ!こっちは終わったよー!!」
「はーい!みなさん、ご迷惑お掛けしました!」
ロゼの声と同時に馬車がゆっくりと動き出し、橋が通れるようになった。
「じゃあ、また何か入り用があったら是非セキレイの羽をよろしくね!」
「うん、じゃあまた!」
手を振りながらレディレイクの都へ進むロゼ達に手を振り、近くにいた騎士に入る許可をもらい、私たちもアリーシャのいる都へと足を踏み入れた。