咲く花
□02
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「神殿久々だな〜」
「前に来たのはジイジも一緒だったよね」
「そうじゃなきゃ来れなかったからね」
数年前に駄々こねる私を連れてジイジとスレイとミクリオの4人でこの遺跡へ来たことはある。いつも2人の遊んでいる遺跡へ行きたくてたまらなかったのを思い出した。けれど、小さい頃は体が弱かったこともあってイズチから一歩も出たことはなかった。
「お兄ちゃんとミクリオがよく遺跡で見つけた物をお土産として持ってきてくれたよね」
「毎回泣きそうな顔で見送るユイは流石に見てられなかったからね。スレイと必死に探した日もあったよ」
そんなこともあったんだ。
私のために探してきてくれた2人には感謝しかない。
「私、2人がくれた物全部取っておいてあるんだ」
「その首にかけてるのも、僕達があげたものじゃなかった?」
「そう、これは初めて2人が持ってきてくれたの。凄く嬉しかったな…」
青い石のついた綺麗なネックレスを出すと、もう何年も前のものなのにも関わらず、まだ輝きを放っていた。
「と、手がかり探さなきゃね」
彼女が倒れていたという場所の付近を探す。草むらや石像の後ろ、隙間などの隅々まで探した。
「これは…」
「何かあったの?ミクリオ」
「ああ、ナイフが見つかった」
ミクリオの手にある細身のナイフには紋章が施されていて、いかにも高級感がありそうなほどのものだった。
「彼女のかな?」
「わからない。とにかく、ジイジのところへ戻ろう」
そう言って立ち上がった時、後ろから殺気を感じ、2人で身構えた。背後にいたのは、蜘蛛の憑魔が2体
「ユイは下がって」
「私も戦う」
「だめだ、突然の接戦はよくない!」
「大丈夫、できる!」
杖を持って蜘蛛の元へ駆け寄る私をミクリオは止めようとしたけど、それは届かない。
杖を剣の如く振りかざす。
ミクリオのように天術が使えるわけではないから、お兄ちゃんを見ていつも練習してたように蜘蛛へ斬りかかる
「はあっ!」
蜘蛛が確実に弱っていくのがわかる。いける。これなら!そう思った矢先
「ユイ!」
ミクリオの声と同時に振り向くともう1体の蜘蛛が私に向かって飛びかかろうとしていた。
間に合わない。やられる
「ツインフロウ!」
水流が顔の横を通り過ぎる。
目の前まで来ていた蜘蛛は息を途絶え、その場で消えてなくなった。
「ふぅ…ありがとミクリオ」
「全く、危ないじゃないか」
「ミクリオもね」
「えっ」
ミクリオの顔のすぐ横に向かって杖を突き立てた。彼に迫っていた先ほどの蜘蛛を倒し、消えた
呆気にとられたように目を見開く彼に笑いながら言った
「これでおあいこだね」
その言葉を聞いたミクリオを驚いたように、でもなにか楽しそうに笑った。