あなたが私のすべて

□2 恐怖
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あんまりドキドキうるさいから、
鼓動がリーマスに伝わってしまいそう。
久しぶりに、彼の香りに包まれた。
そんなに離れてなかったはずなのに、
10年ぶりみたいな感じがする。
彼が、私の体をさらに強く引き寄せた。

「久しぶり、エレナ。
会いたかったよ。」

そう、耳元で囁かれて、顔が真っ赤に
なった気がする。
忘れてた、この人は私を赤面させるのが
大得意なんだった。

「私も会いたかったよ。」

クルリと、彼の腕のなかで回り、
彼の頬に、軽く触れるようにキスした。

「ちょっと、二人とも!
早くしないと遅刻するわよ!」

リリーは、私をリーマスの腕から
強引に引き剥がし、荷物をしっかり
持たせ――まるでお母さんみたいに――、
唯一空いていた、コンパートメントに
私を押し込めて、私とリーマスの
間に座らせた。

「何で僕はリリーの隣なんだ?」

私が隣じゃないことが、不満らしく、
リーマスは、拗ねていた。
リリーは、その姿を見て、クスクス笑った。

「あなたが、エレナを、
独占するからよ。」

リリーがからかうように言う。

「しょうがないだろ。エレナは、
僕のものなんだから。」

そこで、私の顔が火を吹いた。
よくも、普通にそんなこと言えたものね。
あー、暑い暑い。

「おい、リーマス。
聞いててこっちが恥ずかしくなること、
いうんじゃねーよ。」

ジェームズが、少し顔を赤らめて言う。
その姿が、少し可愛くて、面白い。
思わず、吹いてしまった。
私のクスクス笑いは、皆に遷してしまった。
ジェームズは、恥ずかしいのか、
列車の廊下を見つめていた。
そうすると、セブルスが廊下を通りかかった。
相変わらず、本とにらめっこしている。
その時、ジェームズがシリウスを肘で小突いた。
嫌な予感がする。
その予感を、リリーも察したのか、

「何をするつもりなの、ポッター。」

と、冷たく言った。

「挨拶に決まっているだろ、リリー。」

わざとらしい猫なで声と、
笑いをこらえた表情に、リリーの怒りが
爆発したのか、ジェームズとシリウスより
速く、廊下に出て、セブルスを捕まえた。
セブルスは、本を閉じて、
リリーに、――セブルスにしては――
愛想よく、挨拶した。
その姿が、気に食わないのか、
ジェームズはシリウスは、
暗黙の会話の後、うなずいた。
何をするつもりだろう。

「おい、変なことはするなよ。」

「分かってるさ、リーマス。」

笑いながら答える二人。
あー、初日からやらかしそうだな。
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